1月18日~20日にかけて、東京ビッグサイトにおいて「第4回 ウェアラブルEXPO」が開催されている。帝人フロンティアのブースでは、西陣織で電気回路を織り上げた、救急搬送時に精密な心電図計測を迅速に行うためのウェアラブル電極布「テクノセンサーER」などを展示している。
「テクノセンサーER」は、救急搬送の現場において、正確な心電図計測法である「12誘導心電計測」を手早く行うため、同社と京都大学らが共同で開発した製品。発症後2時間以内に処置を行わないと救命率が大幅に落ちる「急性虚血性疾患」の診断には「12誘導心電計測」が必要だが、従来の計測法では10個の電極を体の正確な位置に取り付ける必要があるため、一刻を争う救急現場での運用が難しく、普及が進まないという背景がある。
12誘導心電計測に必要な電極を配置した帯状の布を、患者の正中線と腋の下の二つの目印に合わせて胸の周りに巻きつける操作のみで、正しい位置に電極を設置できる。帯に書かれた目安に沿って患者の体格(S~LL)を選択することで、電極位置の微調整を行うことなく、正確な心電図の計測を可能にしている。
帯の内側には西陣織の技術を用いて織り上げた電気回路を配置。特徴は、1本の糸から回路を織り出している点にある。開発に参画している京都大学の黒田知宏教授は、家業が呉服屋であったことから西陣織の技術がスマートテキスタイルに応用できると着目。救急現場におけるニーズを元に、このソリューションの開発に携わっている。
黒田教授は、「西陣織と言うと呉服のイメージが強いと思いますが、その成り立ちから少量・多品種生産に強い体制で、製品開発との相性が良いのです」と語った。同製品は一般医療機器としてPMDA(医薬品医療機器総合機構)に届出を行っており、一部医療機関などへのテスト販売を皮切りに、医療現場や消防本部における拡販を行う見込み。ゆくゆくは、医療製品で確立した技術を一般向けの製品へ展開することも狙っているとのことだった。
このほか、帝人フロンティアのブースでは、関西大学との共同研究で作られた「圧電組紐」を利用した、ファッション性と計測を両立した衣服の展示や、伸縮性や洗濯耐久性が高い通信・給電シート「ウェアラブルセルフォーム」の展示などが行われていた。