HAKUTOの袴田武史代表

HAKUTOの袴田武史代表

月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」(GLXP)に出場する日本のローバー「SORATO」の打ち上げを目指している民間月面探査チーム「HAKUTO」は1月11日、レース期限の2018年3月末までの打ち上げ実施が極めて難しい状況に陥っていること、および今後も継続して、民間での月面探査の実現に向けた挑戦を続けていくことを発表した。

SORATOは2017年12月19日、打ち上げ地であるインドへの輸送を終えて以降、相乗り先であるTeamIndusとの合同デモンストレーションなどをこなすなど、打ち上げに向けた準備を着々と進めてきた。しかし、TeamIndusとの協議の中で、3月末までにインド宇宙研究機関(ISRO)のロケット「PSLV」による打ち上げに向けた調整がつかないことが判明。11日に都内で会見を開いたHAKUTOの袴田武史代表は、「3月31日の期限までにミッションを実現することが難しい状況であることを確認した」と、状況を説明した。

袴田氏によると、HAKUTOとしては、「最後の最後まで、あらゆる可能性を模索し、チャレンジを続けていく」という方針であり、XPRIZE財団側への期限の延長をTeamIndusと共同で提案していくほか、さまざまな実現に向けた方策を検討していくとする。また、「HAKUTOとしては、GLXPを諦めたわけではなく、これからも挑戦を続けていく。これまで、HAKUTOとしての7年間、挑戦をしてきた中で、いろいろな困難があった。それを一歩ずつ前進することで解決してきたが、その方針は変わらない。今回も1つの山場となるが、歩みを進めることで、必ずクリアし、チャレンジを続けてミッションを達成したい」(同)とのことで、これまで応援してきてくれた多くの人に、引き続き、支援をいただければ、としていた。

なお、XPRIZE財団側へのレース期限の延長要望が通らず、GLXPが仮に終了となった場合でも、袴田氏は、「このプロジェクトには企業、サポーター、クラウドファウンディングなど多くの方々に支援をもらっている。そうした支援者たちの思いを、確実に絶対に月に持っていくことをコミットメントして、チャレンジを続けていきたい」と、HAKUTOとして「何としてでも月面に行くことを実現する」とすることを強調。また、「宇宙開発特有の難しさはあるということは認識している。近年は技術も進展してきており、失敗のリスクも減ってきたものの、次の産業として(宇宙は)始まったばかりで、今後も失敗はでてくる。その失敗で歩みを止めてしまうと、産業にならない。失敗を乗り越える方策を模索していくことが重要で、それこそがHAKUTOがやろうとしていることであり、失敗をしたいと思っているわけではないが、失敗があるということを念頭に置き、それを克服するためのチャレンジを続けていきたい」としており、今後も、HAKUTOという枠組みで、SORATOによる月面探査の実現に向けて意欲的に継続した取り組みを行っていくとしていた。