ソニーは1月11日、「aibo」の誕生(発売)を記念したイベント「aibo Birthday Ceremony」を開催した。本稿ではイベント、および同時開催された報道陣向け体験会の様子をお届けする。
aiboは「繭」につつまれてやってきた
イベントにはaiboを先行予約購入したオーナーが招待され、発売日を新aiboの「誕生日」として祝福した。ソニー執行役員 AIロボティクスビジネスグループ長の川西泉氏が、「コクーン」と呼ばれる専用ケースを開き、aiboを起動させるデモンストレーションなどが行われた。
会場には先代のAIBOを抱えて参加したオーナーも複数おり、代表として壇上でaiboを受け取ったオーナーたちは一様に、期待に満ちた笑顔を浮かべていた。
aiboの「気分」に翻弄された体験会
報道陣向け体験会では、aiboと触れあうことができた。本稿ではタッチ&トライの様子をレポートするが、先代「AIBO」からの技術的な進化については、製品発表時の取材記事を参照してほしい。
実際に接してみて感じたのは、ペットらしい「ままならなさ」だった。
「aibo、お手」と声をかけるとお手をしてくれる…はずなのだが、取材陣からの声かけに「ワン」と一声吠えるだけ。アテンドしていたスタッフによれば、aiboがお手やハイタッチなど、ユーザーの指示に従って振る舞うかどうかは、aiboの気分や、指示した人に対するなつき度合いに関係してくるのだとか。吠えてみせるのは、「声は聞こえている」という返事だという。
起動してすぐaiboが歌い出したので、その歌声を以下の動画でお届けしたい。
しばらく声かけを続けたが、筆者自身の声かけにaiboが応じることはなく、少々切なかった。きちんと関係を構築していかないと、愛らしい動きはなかなか見られなさそうだ。
川西氏も「一緒にいることで新たなしぐさを覚え、なついていく」と語っていたが、確かに初対面の相手にはどこかよそよそしい。たとえるなら知人の飼っているペットを触らせてもらっているような感じに近い。撫でられて喜ぶなど愛想は振りまきつつも、まだ心を許していない、リアルな存在感が印象的だった。
額とアゴの下、背中にセンサが内蔵されており、そこを撫でることで「褒めている」「可愛がっている」というメッセージを伝えられる。アゴの下を撫でていると時折目を閉じてうっとりした表情を見せるのも、いかにも犬らしい。有機ELの瞳の表現力は高く表情豊かだ。また、会場ではaiboのカメラからの視点をモニタで写し、人やおもちゃなどを遠近の区別をして感知していることが示された。
aiboにダンスを覚えさせるモードも搭載しており、記憶するモードになったaibo(ここに至るかどうかもaiboの「気分」次第だ)の前足を持って動かすと、その動きを再現して踊ってみせる。肉球が記憶を開始するスイッチになっており、押すとカチッとクリック音がした。肉球部分は柔らかな素材でできているのでは、という先入観があったため、愛らしい動きとその触感に少しズレがあったように思われた。家族の一員としての愛らしさを高め、かつロボットとしても進化した新aiboを象徴するような体験だった。
そして、aiboと触れあえるスペース「aibo room」が同日よりオープンしている。所在地は東京都・渋谷モディ1階 ソニースクエア渋谷プロジェクト。aiboを撫でたり、お手をさせることのできる「ふれあいベンチ」、一緒に写真が撮れるフォトブースが展開される。このほか、各地のソニーストア(銀座、北札幌、名古屋、大阪、福岡天神)でもaiboの体験が可能ということだ。興味を持った人は足を運んでみては。
なお、aiboの本体価格は19万8,000円(税別)。「aiboベーシックプラン 3年」は一括払いで9万円、月払いで2,980円×36回、「aiboケアサポート」の価格は3年間の加入で5万4,000円、1年間の加入で2万円となっている。