Micron TechnologyとIntelは1月8日(米国時間)、2018年末から2019年はじめにかけて出荷される予定の第3世代の3D NAND(96層)技術の開発完了をもって、NAND開発の協業を解消することで合意したと発表した。協業解消以降はそれぞれの企業が自社のビジネスニーズにあわせて技術と製品を最適化するため、独立して開発・製造するとしている。
両社は、現在、第2世代の3D NAND(64層)技術に基づいた製品の量産にそれぞれの工場で注力しており、両社ともに、今後とも独立して次々世代以降の3D NAND技術を開発していくことには変わりはないとしている。
また、米国ユタ州の合弁企業「Intel Micron Flash Technologies(IMFT)」における3D XPointの共同開発および製造に関する協業は継続する予定で、同工場は3D XPointメモリの製造のみを担当している。
Intelの不揮発メモリソリューショングループの上級副社長兼ゼネラルマネージャであるRob Crooke氏は「IntelとMicronは長期的なパートナーシップにより互いに利益をもたらしてきた。しかし、Intelは、それぞれが集中している市場を追求するのが適切な時期に至ったとの判断し、NANDにおけるパートナーシップの見直しを図り解消することにした。3D NANDおよびOptane(3D XPointメモリのIntelでの名称)テクノロジーのロードマップは、今日のコンピューティングおよびストレージのニーズに応じて顧客に強力なソリューションを今後も提供していく」と述べている。
一方のMicronの技術開発担当EVPであるScott DeBoer氏は、「MicronとIntelのパートナーシップは長年にわたって継続してきたが、将来のNAND開発でそれぞれの道を切り開いていくことを決定した。しかし今後も、3DXpointメモリなどの他のプロジェクトでIntelと協力し続けることを楽しみにしている。Micronは自社の強力な3D NAND技術開発のロードマップにしたがって、業界をリードする競争力のある3D NAND製品を今後とも独自に市場に投入していく予定である」と述べている。
協業解消で市場に変化は生じるのか?
台湾TrendForceのメモリ市場調査部門DRAMeXchangeは、今回の両社の発表を受けて、「96層の3D NANDは2019年まで主流にはならないだろう。したがって、今回の協業解消は、製品ロードマップとしては2020年まで影響を与えない」との見解を発表している。
また、「開発パートナーシップが解消されても、MicronとIntelのNAND調達契約そのものは継続すると考えられるため、今回の協業解消の決定は短期的には両社の生産能力に影響を与えないと見られる」とするほか、「長期的に見た場合、Intelは中国大連市の工場でサーバSSD用3D NANDの生産に注力する見通しであり、一方の Micronはシンガポールの2つの3D NAND量産ファブの活用で、DRAMとのバランスをとって柔軟な開発戦略と最適な製品ポートフォリオの構成を図るだろう」との見解を示している。
なお、TrendForceのメモリ担当アナリストであるMark Liu氏は「IntelとMicronはNAND開発のニーズが異なるとする一方で、3D XPointの開発は今後とも緊密に協力していくことを確認している。この動きから、今後のNAND開発において再び両社が協力する可能性もないとは言いきれないのではないか」と、市場の動向に注視する必要があるとするほか、両社が別個に市場競争力の向上に向け、中国メーカーなど他社との協業の可能性を模索する可能性もあるとしている。