Siemensの印刷検査装置部門に起源を持ち、3種類のラインスキャンカメラシリーズを武器に、マシンビジョン市場で成長を続ける独Chromasens。2017年10月には、リンクスと国内代理店契約を締結するなど、日本市場へのアプローチを積極化している。果たして、同社の強みとは、どのようなものなのか、同社CEOであるMarkus Schnitzlein氏に話を聞いた。

現在、Chromasensが有する製品は、ピクセルサイズ10μm×10μmのCCDを搭載した最大15K×4画素に対応したハイエンドカラーラインスキャンカメラ「allPIXA」、ステレオビジョン方式の3次元カラーラインスキャンカメラ「3DPIXA」、そしてマルチスペクトルラインスキャンカメラ「truePIXA」の3シリーズとなっている。それぞれの市場についてSchnitzlein氏は、「allPIXAが対象とする2次元のラインスキャンカメラ市場は、成熟期を迎えている市場だ。しかし、15Kはほかにない性能であり、市場に受け入れられる製品だと思っている。また、3Dについては、今、ちょうど世界的に市場が立ち上がりつつある時期にあり、日本も同様の状況と言える。そしてマルチスペクトルだが、これはまだ市場として立ち上がっていないため、これからの成長が期待できる状況となっている」と分析していることを明かす。

  • Chromasensのラインスキャンカメラ製品

    2017年12月にパシフィコ横浜にて開催された国際画像機器展2017のリンクスブースに展示されていたChromasensの製品群

市場が現在、急拡大しているという3Dカラーラインスキャンカメラだが、3DPIXAは、高さ画像とカラー画像を同時に取得でき、かつサブミクロン精度での計測を高速にできることから、その適用範囲は、半導体の製造や高性能製造装置の製造、金属部品の識別やガラスパネルの識別、食品の判別といったように、あらゆる産業といっても良いほど広く、日本でもさまざまな業界での活用が期待できるという。

  • 3DPIXAのデモの様子
  • 3DPIXAのデモの様子
  • 2017年12月にパシフィコ横浜にて開催された国際画像機器展2017のリンクスブースにて行われていた3DPIXAのデモの様子

一方のマルチスペクトルラインスキャンカメラは、12chの色情報を高速に取得することを可能としたもので、画像全体の任意の領域に対して、インラインで適用できるという特徴を有している。市場の動向として同氏は、「日本と欧州の市場ニーズが似ている」という見解を見せており、特にこの2つの地域に共通しているのが、大判印刷や化粧品などの製品パッケージの色ムラなどを抑えることで、製品の品質を高めたいというニーズが強い点だという。「包装機やプリントなど、品質に厳しいコンシューマの目がある日本では、我々のソリューションはRGBで見れないものも見れるという点から、伸びると思っている」と日本市場の成長に期待をのぞかせる。実際に、日本の代理店であるリンクスの代表取締役を務める村上慶氏に確認をしたところ、「代理店契約を締結して以降のこの2ヶ月の間に、すでに商談が進むほどの勢いで注目を集めている」と、日本市場における手ごたえを語ってくれた。

「Chromasensとしても、リンクスの売り上げ拡大を期待したい。リンクスはこれまでのビジネスで、多くのカスタマを有しているし、ポテンシャルも有していると感じている」とSchnitzlein氏も、リンクスに対する高い期待を語る一方、村上氏も、「我々も商品を世の中に送り出してみて、初めて、こんな使われ方がされるのか、と思わされるところもまだまだある。そうした意味では、20年にわたって培ってきた顧客の皆様に、truePIXAを送り出し、ニーズを探っていく」とするほか、新たな市場がある可能性にも言及、そうした市場については、Chromasensとともに開拓していきたいとしていた。

ちなみに、Chromasensの2018年の計画としては、複数のカスタマにおいて3DPIXAの量産ライン適用に向けたデザインインを獲得し、2019年の実適用を目指したいとする。製品ラインアップとしても、高解像度化や新規アルゴリズムの採用による、取得画像の高精細化を図っていくことを予定しているとする。

一方の、truePIXAについては、立ち上げの時期として、実案件の獲得を積極的に進めていくとするほか、2Dのラインスキャンについても、高速化やセットアップを容易化するエリアスキャン機能の搭載、インテリジェントな機能を実現するスマート化、といった進化に向けたアイデアはまだまだあるとしており、そうした新機能が2018年には次々と実用化されてくる見通しだという。

なお、Schnitzlein氏は、2018年について、「2018年のChromasensは、これまで以上に進化した姿を見せられると思っている。カラーラインスキャンを活用して何かできないか、と思っている皆様の思いにこたえられるものを提供できるようになると思っているので、期待してもらいたい」と抱負を述べており、3シリーズともに製品の強化を図っていくことを強調。今後の日本でのラインスキャンカメラの市場拡大にリンクスと協力していくことで、積極的に推し進めていくことをアピールしていた。

  • 握手を交わすChromasensのMarkus Schnitzlein CEO(左)と、リンクス代表取締役を務める村上慶氏(右)

    握手を交わすChromasensのMarkus Schnitzlein CEO(左)と、リンクス代表取締役を務める村上慶氏(右)