政府の「総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)」は25日、宇宙開発や健康・医療、ITなど、これまで分野ごとに設置した戦略本部が個別に打ち出していた戦略内容をまとめる「統合イノベーション戦略」(仮称)を、来年夏をめどに策定することを決めた。特に大学については、イノベーション創出拠点と位置付けて改革を強力に進めるという。
政府には、「宇宙開発戦略本部」や「健康・医療戦略推進本部」「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」「サイバーセキュリティ戦略本部」などがあり、本部ごとに戦略を策定していた。このため政府全体の整合性や総合的な戦略を求める指摘が出ていた。25日開かれた第34回会議では、例えば人工知能(AI)や自動運転技術といった互いに密接に関連する技術の開発計画を統合的かつ具体的に進めてイノベーションの国際競争に後れを取らないスピード感ある戦略を目指すことなどを決めた。
これまで毎年取りまとめていた「科学技術イノベーション総合戦略」を「統合イノベーション戦略」に名称を変更。新戦略の下でAI技術やデータ連携基盤などの研究情報基盤を整備し、卓越した研究力を得るために大学改革も強力に進めるという。
安倍首相は会議で「我が国が世界に先駆けてイノベーションを実現するためには、グローバルな視座に立ち、基礎研究から社会実装まで一気通貫の戦略が必要だ。2020年に向けて生産性革命を実現するためにも抽象論ではなく具体的な政策を速やかに実行していく必要がある。中でもイノベーションの創出拠点として大きな役割が期待される大学の改革を強力に進めることが必要だ」などと語った。
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