クルマが大きく変わろうとしている。1950年代には、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が三種の神器とも呼ばれ、日本においても皆一様にこれらを入手しようと切磋琢磨し、その後にカラーテレビ、クーラー、自動車が登場。利便性において大きく変革する製品が登場すると、またたくまに広がり消費の拡大を支えていった。インターネットに常時接続されたクルマがもたらす利便性への期待はとても大きい。従来以上に大きく社会を変える可能性がある。
調査会社のGartnerは2020年までに、2億5000万台のコネクテッドカーが路上を走ると予想している。セキュリティベンダーの米Palo Alto Networksは2018年のセキュリティ業界の予想(公式Webページ)をいくつか打ち出しているが、その一つがコネクテッドカーで重要となるセキュリティ問題だ。ユーザーは、地形図データを使って最も燃料効率の良いルートを選択できる次世代のナビゲーションシステム、車が自分の速度と方向を他の車に伝えることで衝突などの事故を防ぐV2V(vehicle to vehicle;車車間通信)などを利用できる。このような接続により、車で利用できるインフォテイメント機能(「Apple CarPlay」「Android Auto」など)も変わりつつあり、車の自動運転技術の進化に一役かっている。これらの最新技術を支えるひとつの核がクラウドベースの技術になるが、人命にも関わりかねない自動車。悪用されると恐ろしいことになるのは言うまでもない。
Palo Alto NetworksのDharminder Debisarun氏は、来年2018年に自動車産業は安全な移動のためのクラウド環境の安全性のために大規模な投資をすることになるだろうと予想している(2018 Predictions & Recommendations: Cloud Security Adoption Will Disrupt the Automotive Industry)。自動車業界が使うセキュリティツールはクラウド向けに設計されているわけではなく、ビジネスプロセスを遅らせることなくダイナミックな仮想環境全体で、いつ・どこからクラウドにアクセスする場合でも保護できるようクラウドの潜在性を最大限に活用するようになるだろうと述べている。
同社は6月に「Next-Generation Security for Automotive Environments」と題したPDF資料を公開しており、コネクテッドカーで想定されるネットワークを簡単にまとめているが、IoTの増加とともに多様な通信が集約することが図を見るだけでも想像できる。同氏は「2018年、そしてそれ以降にクラウドが潜在性を発揮するためには、自動車業界はコネクテッドカー向けのセキュリティツールを評価し、整えることを助言する」とまとめている。