ルネサス エレクトロニクスは、NCAP向けフロントカメラアプリケーションおよびサラウンドビュー、LiDARシステムに対応するSoC(System on Chip)「R-Car V3M」を搭載した「R-Car V3Mスタータキット」の提供を、2018年1Q(1-3月期)より開始することを発表した。

  • ルネサスの車載スマートカメラ、サラウンドビュー、LiDARシステム開発向け「R-Car V3Mスタータキット」

    ルネサスの車載スマートカメラ、サラウンドビュー、LiDARシステム開発向け「R-Car V3Mスタータキット」

R-Car V3Mは、低消費電力を実現しながら高度な画像認識を実現する高性能SoC。ディープラーニングに対応するCNN(Convolutional neural network)エンジンを搭載し、標識の意味の認識など、NCAP向けの最先端アプリケーションの開発が可能となっている。

このR-Car V3Mを搭載したR-Car V3Mスタータキットは、車載向けシステム開発に必要なメモリ、インタフェースとして、2GB RAM、eMMC(embedded multi-media controller)、Ethernet、ディスプレイ、デバック用インタフェースなどを備えている。440ピンの拡張ポートも搭載し、サラウンドビューをはじめとする複数カメラを用いたアプリケーション向けシステム開発にも使用可能。

各種開発ツールと接続できるため、新たにボード開発を行うことなく、ディープラーニングを取り入れたNCAP向け最先端のスマートカメラからサラウンドビューまで、高度なアプリケーション開発が可能となっている。

また、同キットはLinuxに対応しているため、Linux BSPをダウンロードすることで豊富なLinuxのオープンソースを利用した開発を即座に始めることができる。さらに、ルネサスオープンソース対応IDE(統合開発環境)であるe2 Studioを利用した開発も行える。

アプリケーションでは、フロントカメラアプリケーションのパートナーであるHELLA Aglaiaのソフトウェアや、Cogentから提供される3Dサラウンドビュー・自動駐車システム用ソフトウェアを使用可能。実車ベースでの開発に対応しており、R-Car V3Mスタータキットを利用すれば、手軽に実車に搭載して、アプリケーションのテストや検証が可能となっている。

  • ルネサスのR-Car V3M用開発環境

    ルネサスのR-Car V3M用開発環境

ルネサスのグローバルADASセンター、Vice PresidentのJean-Francois Chouteau氏は、「拡大著しいNCAPカメラ市場において、低消費電力と高性能を実現したR-Car V3Mが搭載されたR-Car V3Mスタータキットは、ビジネスチャンスを逃さない効率的な開発を可能とします。すでに協業を発表しているフロントカメラアプリケーションのパートナーであるHELLA Aglaia社のソフトウェアを搭載すれば、すぐに最先端のフロントカメラソリューションが実現できます。」とコメントしている。

なお、R-CarV3MスタータキットとLinux BSP(Board Support Package)は、2018年1Qから限定出荷を開始し、2018年3Q(7-9月期)から、本格出荷を予定している。