三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月23日、気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)および超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)を搭載したH-IIAロケット37号機(H-IIA・F37)(高度化仕様)を予定通りに打ち上げ、正常に2機の衛星を分離したことを発表した。
ロケットは計画通り飛行し、打ち上げから約16分13秒後に「しきさい」を、約1時間47分59秒後に「つばめ」を分離することに成功した。
気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)は、地球規模での気候変動のメカニズムを解明するために、地球上の植生や雲・エアロゾルといったさまざまな物理量を全地球規模で継続的に観測するシステムを構築して利用実証するとともに、観測データを気象や漁業などの実利用期間に提供して現業分野に貢献することをミッションとした観測衛星だ。観測データの提供は打ち上げから1年後を予定している。
一方の超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)は、従来より低い軌道(超低高度軌道)での衛星利用の実現を目指して開発されたもの。これによりJAXAは、衛星の小型化・低コスト化を目指す。
三菱重工業の執行役員 防衛・宇宙セグメント長である阿部直彦氏は、「無事打ち上げに成功して安堵している。今回、2つの衛星を異なる高度の軌道に投入することが成功したことにより、今後、衛星の相乗り機会が拡大することが期待されるようになり、ビジネスの幅が広がるだろう」と語った。