三井不動産とシスコシステムズは12月20日、東京・日本橋エリアにおいて、2020年及びそれ以降に向け安心・安全な街づくりを目指し「日本橋室町エリア防災高度化実行委員会」を立ち上げ、ICTを利用した防災サービスに関する実証実験を2018年1月に開始すると発表した。

  • 実証実験の概要

    実証実験の概要

自然災害の発生時、とりわけ人口が集中する都市部においては、状況を正しく把握し適切な情報提供や誘導などの対応を迅速に行うことが重要になるという。また、2020年に向けて世界の国々から多くの人々が日本を訪れる中、災害発生時のみならず、平常時においても安心安全な国際都市としての機能強化が求められている。

これらの課題解決に向けた取り組みの一環として、ICT利用による日本橋エリアの防災プラットフォームを構築し、平常時も含めた都市機能全体の向上およびスマートシティ化の推進を目的に「日本橋室町エリア防災高度化実証実験」を開始する。

同実験では、平常時・災害発生時にICTを利用しIoTデータ情報を取得・分析するために「Cisco Kinetic for Cities」を基盤として使用。同基盤は、例えば室町東三井ビルディングのフロアで来訪者が転倒した場合、その状況を画像認識技術(AI)で自動検知し、一番近くにいるビル管理スタッフにコミュニケーションツールで自動通知し、すぐに対応できるという。

また、災害発生時においては施設の被災状況や来街者・在街者の避難状況を迅速に把握、避難誘導や帰宅困難者受け入れの最適化支援に役立てることを計画している。

  • ICT/IoT利用のイメージ

    ICT/IoT利用のイメージ

実証実験の目的として両社は、施設内における事故などの情報収集と運営側への情報共有をICTを利用して自動的かつシームレスに行うこと、施設内において傷病者が発生した場合の対応をICTを利用してより速くより円滑に行うこと、大規模災害時における帰宅困難者受入施設の情報把握・運営をICTを利用して正確かつタイムリーに行うことの3点を挙げる。

具体的には、平常時および災害発生時を想定し、日本橋室町エリアにある室町東三井ビルディングの各フロアにWi-Fiやカメラを設置し、Wi-Fiによる位置情報分析を行い、カメラとAIによる画像解析を行う。

平常時には、Wi-Fi/カメラ/デジタルコミュニケーション/各種センサーなどから平常時の人の流れや人数といった情報を取得・分析し、施設運営者である三井不動産ビルマネジメントへ提供する。災害発生時には、災害発生時の情報収集・状況把握、センサ情報やカメラ情報から被災状況の情報取得、避難誘導にあたる管理要員などの位置情報の取得・収集、関係者間でのCisco Sparkを使用した情報コミュニケーション・シュミレーション、被災状況の連絡、施設運営者への被災状況の連絡を行う。

実施時期は、第1弾として2018年1月初旬から4月下旬までを予定しており、2018年3月には公開実験の実施も検討している。同実験においては、三井不動産は実証空間と施設運営ノウハウを、シスコシステムズはICTやAIなどのソリューションを、それぞれ提供する。また、クリューシステムズやCoaidoなどが参画を検討しているとしている。