電子情報技術産業協会(JEITA)は12月19日、JEITAが推進する「超スマート社会の実現(Society 5.0)」に向けた重要な概念となるCPS(Cyber Physical System)/IoTについて、利活用分野別の世界需要額と中長期展望を、国内外の関連企業・団体へのヒアリングをもとに定量的に推計した市場調査結果を公表した。
それによると、CPS/IoTの市場規模は、2016年に世界で194兆円、日本で11兆1000億円であったが、これが2030年には世界で404兆4000億円、日本で19兆7000億円へとそれぞれ約2倍の成長となることが見込まれるという。市場拡大の背景としてJEITAでは、さまざまな社会課題の解決を目指し、ネットワークにつながる機器とソリューションサービスのさらなる拡大が見込まれること、ならびにそうして活用される各種機器のIoT化率も2030年には8割を超える見込みであることなどがあげられるとする。
利活用分野別にみた市場としては、最大規模は「家庭・個人」であるが、2030年に向けて年平均の成長率が高い分野は「農業」で年平均20.2%、次いで「医療・介護」が同10.9%、「流通・物流」が同10.4%となっている。また日本市場では、人手不足をCPS/IoTの活用で補おうというニーズが強い「流通・物流」と「医療・介護」が高い成長率で市場が拡大することが見込まれ、それぞれ2030年までに2兆4000億円、1兆3000億円へと1兆円を超す市場に成長する見通しとなっている。
なお、JEITAでは今回の調査結果をベースとして、CPS/IoT市場の着実な成長を図るべく、国や各種機関・会員各社と連携し、さまざまな施策に取り組んでいく方針を示しており、こうした取り組みを通じて、日本経済のさらなる活性化につなげていきたいとしている。