デンソーと豊田通商は13日、交通系商用アプリケーションを用いた量子コンピュータの実証実験を、2017年12月より開始することを発表した。
量子コンピュータは従来のコンピュータと異なり、膨大な組み合わせを同時に探索する計算方式を用いるため、特定の計算において従来のコンピュータの1億倍以上の高速化が有望視されている。大規模なデータをリアルタイムで処理することが求められる、コネクティッド時代のモビリティサービスへの活用が期待される一方で、効率よく計算するためには、量子コンピュータに適したアルゴリズム開発研究が必要とされる。
今回の実証実験は、大規模な車両位置や走行データを量子コンピュータ上でリアルタイムに処理するもの。タイ国内のタクシー・トラック約13万台に取り付けられた専用車載器から収集した位置情報を活用し、クラウド接続したカナダのD-Wave Systems社製の量子コンピュータ内で処理する。この実証を通じ、量子コンピュータを活用した渋滞解消や緊急車両の優先的な経路生成などの新しいアプリケーション提案につなげるという。
この実証にあたり、デンソーと豊田通商は、豊田通商ネクスティ エレクトロニクスタイランドが2012年から提供している渋滞情報配信サービス「TSQUAREアプリ」のプラットフォームに、量子コンピュータを用いた解析処理技術を共同で取り組む。
デンソーは量子コンピュータを用いた解析処理アルゴリズムの実装を、豊田通商はアプリケーションの実装を担当する。実運用されている交通系IoTプラットフォームにおいて量子コンピュータを活用する取り組みは、世界で初の試みだということだ。
なお、デンソーは、2018年1月9日〜1月12日に米国ラスベガスにて開催される国際家電見本市CES2018において、この実証実験のイメージを展示する。