TANAKAホールディングスは12月14日、同社グループ会社の田中貴金属工業が、科学技術振興機構(JST)より委託を受けて企業化開発を進めてきた産学共同実用化開発事業(NexTEP)の開発課題「金属細線を用いたタッチパネル用センサフィルム」の開発結果が成功と認定されたことを発表した。
現在のディスプレイ一体型タッチセンサは、主にITOを用いた透明電極が用いられているが、曲げに弱いなどの問題から、フレキシブル化、大画面化への対応に限界があるとされており、その代替技術として、金属細線を電極にするメタルメッシュ(MM)の実用化が期待されている。しかし、現状では配線幅が太く、近距離で見ると、配線が見えてしまうという課題があり、大型ディスプレイはまだしも、中小型ディスプレイへの適用は困難であった。
今回の研究では、田中貴金属が、特殊な銀インクと活性化されたフッ素樹脂表面との吸着反応により配線形成する新技術「SuPR-NaP法」の、実用的な製造速度への適応に向けた、反応機構の解明、製造装置の開発、各工程の条件検討を実施。
その結果、全工程ロールtoロール方式でMMフィルム(線幅2~4μm)を製造するシステムを完成させたという。これにより、線幅2~4μmの7~8インチのセンサフィルムが作製可能となったほか、20万回(半径2mm)の折り曲げ試験を経ても抵抗値の変化がほとんどないこと、なども確認。センサパターンのデザイン(配線幅や形状)や配線の後処理方法により、見えない配線も実現され、要求仕様のものができたという。
なお、同技術は、ディスプレイへの適用のほか、樹脂フィルム上に金属パターンが必要なアプリケーションにおいても応用、利用が可能であるため、抗菌フィルムや触媒、遮熱フィルムといった機能フィルムへの適用も期待できるとしている。