住友重機械工業(以下、住友重機械)と日本電気(以下、NEC)は、産業機械の故障予兆の検出にAIを用いる実証実験を行い、プラスチック射出成形機(以下、射出成形機)から出力されたデータを利用した故障予兆の検出に成功したと発表した。1データセットあたり0.4秒以内で、損傷を高精度で判別できるという。
同実証実験は、射出成形機に標準的に搭載されているセンサ群の時系列データを利用して、ボールねじが正常な場合と損傷を受けた場合のデータの差異検出が可能かを検証したもの。電動射出成形機では、駆動機構に搭載されたボールねじのメンテナンスを計画的に実施したいという要求があり、故障の予兆の検出が期待されているという。同実証実験では、正常と損傷のそれぞれの時系列データを、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」のひとつである「RAPID機械学習」で分析した。その結果、1500あるデータセットを20分程で学習し、1データセットあたり0.4秒以内で、正常と損傷のデータを高精度で判別できることが確認されたという。
今後両社は、同実証実験の結果をもとに、故障予兆における環境変動への耐性や、損傷の種別・程度の判定について検証を進めていくとともに、プラスチック製品へのAIによる画像検品の適用や、成形条件の自動調整実現も視野に入れ、NECのAI・IoT技術を活用した、成形工程全体の機能向上を目指していくとのことだ。