AImotiveは12月11日、自律車両向けFPGAプロトタイプ・プラットフォーム、ならびに同技術を搭載した自動運転用のデモ車両を発表した。また、併せて日本におけるデモ車両とテクニカルサポートを、ビジネスパートナーである菱洋エレクトロが提供することも発表した。

AImotiveは、自動運転レベル5までの製品開発を行うOEM・Tier1向けの、「リアルタイム自動運転ソフトウェアスタック『aiDrive』」、「シミュレーション開発ツール『aiSim』」、「低消費電流のニューラルネットワークアクセラレータ『aiWare』」などの技術を提供する、ハンガリーの企業だ。

  • AImotiveの技術ポートフォリオ

今回同社が発表したプラットフォームは、先述したaiWareのハードウェアアクセラレーションの能力実証用に設計されたもの。これにより、GPU以外のハードウェア上で、ディープラーニングを動作させることが可能になるという。

AImotiveのHead of Japan Officeであるアクセル・ビアルケ氏は、「aiWareは、世の中のAIニーズに合わせてデザインされたアクセラレータだ」と述べ、「これまでGPUを用いた場合の自律車両技術に求められる画像処理においては、ハードウェアのレーテンシー(遅延性)と高い消費電力などが問題となっていた。同ソリューションは、それらの問題を解決するために開発」と、その開発に至った経緯を説明した。

同ソリューションを用いることで、消費電力比は従来のGPUを用いた場合と比べて10% ~20% にまで低減することができるようになるという。また複数のセンサ、HDカメラ、LiDAR、レーダーなどの高解像度データの処理が一括して行えるほか、広範囲のCNNワークロード、メモリ帯域幅とスケーラビリティの最適化により、90% ~95% 以上のコア利用率を達成するとのことだ。

なお会場では、従来のGPUを用いたディープラーニングと、同ソリューションを用いたFPGAによるでディープラーニングの比較デモが行われており、実際の車両に搭載するという点において、GPUではなくFPGAが有利であることが示されていた。

  • GPU(画像左)、FPGA(画像右)を用いてディープラーニングのアルゴリズムを実行したデモンストレーション。今回のソリューションによって、GPU以外のハードウェア上でディープラーニングを実行することが可能になった

  • 展示されたaiWareの評価ボード。FPGAはIntel(旧Altera)の「Arria10」を使用

  • 自律運転用のデモ車両

  • 左から、菱洋エレクトロの営業推進部自動車推進グループ シニアエンジニアである横山治彦氏、同社代表取締役社長の大内孝好氏、AImotiveのHead of Japan Officeであるアクセル・ビアルケ氏、同社Head of Chip Technologyであるマートン・フィーファー氏