近畿大学は、大塚製薬との共同研究により、女性アスリートの月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)によるパフォーマンス障害が、体内でエクオールを作れるかどうか(エクオール産生能の有無)に関連することを明らかにしたと発表した。
同研究は、近畿大学東洋医学研究所の武田卓、椎名昌美、大塚製薬佐賀栄養製品研究所の上野友美、内山成人らの共同研究グループによるもので、同研究成果は、12月8日に産婦人科領域の専門誌「Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」に掲載された。
「エクオール」は、人の体内において大豆イソフラボンから作られる活性物質で、特定の腸内細菌の有無によってエクオールを作れる人と作れない人が存在する。これまでの研究で、日本人の閉経前女性の約42%が体内でエクオールを作りだすことができ、できない人はPMS/PMDDのリスクが2倍以上であるという結果が出ている。
近畿大学東洋医学研究所は、2014年に近畿大学体育会クラブ所属の女性アスリートの44.3%が、PMSやPMDDの症状により練習や試合について何らかの障害を自覚していることを明らかにした。同研究では、女性アスリートにおけるPMS症状によるパフォーマンス障害とエクオール産生能の関連性を調査するため、近畿大学体育会クラブ所属の女性アスリート88人を解析。その結果、エクオール非産生者は産生者に比べて、PMS症状によるパフォーマンス障害のリスクが3.3倍と高いことがわかった。また、競技による体重制限もPMS症状によるパフォーマンス障害のリスク因子となり、エクオール産生能とともに、適切な栄養摂取の重要性が示唆される結果が出たという。
エクオール産生能に関しては、更年期障害・骨粗鬆症・心血管疾患などの、女性ホルモンに関連する疾患において発症リスク等で有利にはたらくことも過去の研究からわかっている。女性アスリートがPMS/PMDDを克服して最高のパフォーマンスを発揮するためにも、エクオールの補給等によるPMS/PMDDへの新しい対策が期待されるということだ。