ルネサス エレクトロニクスの、アイデアとエレクトロニクスをつなげるプロジェクト「GADGET RENESAS(がじぇるね)」は12月9日、プロトタイピングボードを活用したアイデアコンテスト「GRデザインコンテスト 2017 in Japan」のグランドフィナーレを実施した。
同コンテストは、課題の明確性や喜ぶ人などのアイデアを募集する1次選考、アイデアの完成度や実用性などを審査する2次選考を経て、グランドフィナーレでのデモによって、優勝チームを選出するというもの。グランドフィナーレには今回、2次選考を勝ち抜いた20チームが参加。各チームのデモの後には表彰式も実施され、優勝チームには50万円、2位には30万円、3位には20万円、そのほか特別賞などを含み、総額150万円が授与された。
優勝を果たしたのは、チーム「UinProducts」の指輪型インタフェース「Magic Operation」であった。同アイデアのターゲットは「スマートデバイスを使うすべての人々」であるといい、具体的には、デバイスとの連携が可能なセンサが組み込まれたリングを指に装着することで、ジェスチャ入力を実現することができる。デモでは、PCを操作し、動画の再生・停止、ファイルの展開などをできる様子が見られた。
開発チームによると、「例えば、スマホ(スマートフォン)のパスワード入力時、ポケットの中でジェスチャ入力をすることによって、入力時の指の動きが見られないようになる」とのこと。ATMの暗証番号入力時などへの応用が出来れば、安心してパスワードの入力操作が行えそうだ。
また、2位となったチーム「TKTK360」が開発したのは、「家庭でも使える大画面ボード」。家庭や商業施設における安価な大画面操作を実現するものだ。具体的には、ペン認識の赤外線カメラとソフトウェアでの画像解析によるマウス操作を実現することで、TVやプロジェクタを利用し、パソコンを操作することができる。
3位となったチーム「team M&A」が開発したのは、"色を吸い取って音を鳴らす"「からりん(Color Ring)」というアイデア。カラー判別センサが搭載されたベルで、特定の色にタッチすると、あらかじめ設定しておいた音がなるというものだ。例えば、赤色であれば「ド」、オレンジ色であれば「レ」、黄色であれば「ミ」……、といったように設定をしておくことで、身の回りの色を、音に変えることができる。開発チームは「子供が身の回りのいろいろなものに興味をもつきっかけになってほしい」と語った。
そのほか、子どもが片づけを怠るとゲーム中であってもテレビの電源が消えてしまう装置や、顔認証技術を用いることで名前を思い出せない人と会っても名前を教えてくれるアイデアなどもあり、各チームがさまざまな課題を解決する装置を作り出していた。
イベント終了後、審査委員長であるルネサスの松山景洋氏(Broad-based Marketing Division シニアエキスパート)に話を聞くと「国ごとに集まるアイデアの特色が異なり、日本では『半径5メートルの課題』に着目したアイデアが多いという印象を持った。今後も国内外においてイベントを実施していく予定であるため、どのようなアイデアが生まれるかが楽しみだ」と語った。