ヤンマーは、農研機構食品総合研究所の研究により開発されたグルテンフリー食品素材「米ゲル」の量産化技術を確立し、商品名を「Rice gelee(ライスジュレ)」と命名して、12月中旬より本格的に販売を開始すると発表した。
「米ゲル」は、加水した米を炊飯・高速せん断撹拌することにより、ゲル状に加工したもので、米粉と比較して米独特の風味が少ないので加工品に展開しやすく、保水性が高い特性がある。また、小麦粉の代用品としてパンやケーキなどに使用することで、グルテンフリー食材として活用することができる。乳化剤や増粘剤などの添加物に代わる新食品素材としても注目されているほか、アレルギー対策が必要な学校給食や介護食、離乳食への導入なども期待されているという。
さらに、米ゲルは、生産時の加水量を調整することで物性(硬さ)を制御でき、柔らかいゼリー状から弾力のあるゴム状まで、用途に応じた素材の提供が可能となっている。保水性が高く経時劣化が少ない特性を活かして、ふっくらとした食感が数日持続するパンの原料として使用できるほか、小麦粉、米、乳製品の代用品として使用することで、和菓子や洋菓子などへの展開も可能だという。また、低カロリーで溶けにくいアイスクリームも作ることができるということだ。
同社は、米ゲルを加工する「ダイレクトGEL転換」の装置と製造技術を新たに開発することで、連続大量生産を実現した。原料には主に加工用米として栽培されている高アミロース米を使用するため、安定したコストでの生産が可能となっている。なお、製造はライステクノロジーかわちが行い、ヤンマーのグループ会社であるヤンマーアグリイノベーションを通じて販売される。
また、今回「ライスジュレ」として販売するにあたり、お好み焼専門店「千房」で同商品を採用して開発したグルテンフリーお好み焼「豚玉 新味~グルテンフリー~」の販売が開始される。同商品を加えることで調理後の食感を持続させることが可能である事が評価されたという。小麦アレルギーの人や、グルテンフリーの食品への関心が高い欧米からの訪日外国人のニーズにも対応した商品として、12月18日より関東や関西圏の25店舗で販売予定となっている。
同社は今後、「ライスジュレ」を使った各種商品の開発も行い、ウェブサイト「premiummarche.com」においてグルテンフリー商品などを販売する予定だということだ。