日立製作所(以下、日立)と三菱電機は、三菱電機の粒子線治療システム事業を日立に譲渡し、両社の事業を統合することに合意した。今後、三菱電機の粒子線治療装置に関わる設計・製造・販売・保守事業を2018年4月に日立に統合する予定となっている。

粒子線治療は、他のがん治療法に比べて治療による副作用が少なく、治療後の社会復帰も比較的早いため、有効な治療法のひとつとして注目されている。2013年以降、粒子線治療システムは急激に増えており、世界の70以上の施設で稼働中の粒子線治療システムは、今後、世界各地域で毎年10施設以上の新規建設が見込まれているという。日本では、2016年4月から小児がんの陽子線治療と、骨軟部がんの重粒子線治療が保険適用となるなど、がん治療法のひとつとして認知・普及が進んでいる。

日立は、粒子線治療システムで、日本・北米・アジアの病院13施設から受注、そのうち8施設が稼働済みとなっており、これまでに1万6,000名以上の患者が日立のシステムで治療を受けている。また、米国のがん専門病院と放射線治療に関する共同研究を行っている。三菱電機は、国内で粒子線治療や臨床研究が行われている医療機関17施設のうち9施設に粒子線治療システムを納入しており、より多くの患者を治療できる装置の提供と、粒子線治療施設の運営に必要な人材の育成支援や施設間の連携支援なども行ってきた。

両社は、粒子線治療がグローバルに拡大していく中、開発等のリソースの統合により事業競争力を高め、より高性能で高付加価値のある製品・サービスを提供していくことが不可欠と考え、幅広くヘルスケア事業を展開している日立への事業譲渡による統合が最適であるとの結論に達したという。今後、日立は新体制のもと、両社が培ってきた技術を活用し、最先端の放射線医療・がん治療に貢献していくということだ。