市場動向調査企業であるTrendFiorceは12月6日、2017年における中国のIC設計業界の売上高は、前年比22%増の2006億人民元に達するほか、2018年も同20%程度の成長が持続し2400億人民元に達するだろうとの見通しを発表した。
中国のIC設計業界はハイエンド製品の開発を継続的に進めている。例えば、HiSiliconはすでにハイエンドの携帯電話向けに10nmプロセス技術を採用した製品を提供している。また、HiSiliconとSanechips(ZTE Microelectronics)はNB-IoTチップの提供を開始しているほか、Cambricon TechnologiesとHorizon RoboticsはAIチップの開発を進めており、Unigroup Spreadtrum RDA、Datang、HiSiliconの3社は5Gネットワーク向け製品をリリースしている。
2017年の中国IC設計企業トップと目されるHiSiliconは、スマートフォン(スマホ)などを手がけるHuaweiの子会社で、その売上高は、2位以下を3倍以上引き離している。Huaweiのスマホ出荷台数の伸びなどを追い風に、同社のスマホ向けアプリケーションプロセッサ「Kirin」の普及率が高まっていることなどから、前年比成長率も25%を越す勢いである。一方、2位のUnigroup Spreadtrum RDAは、中低価格市場での価格競争などの結果、収益の低下をきたしている。3位のSanechipsは、通信アプリケーション用のICコンポーネントの設計をコア事業としており、製品の範囲を拡大したことが奏功し同30%以上の伸びを達成する見込みだという。
4位のHuada Semiconductorは、豊富なリソースを活用し、スマートカード、セキュアチップ、アナログ回路、ディスプレイなど、幅広い製品分野に展開しており、2017年に初めて50億人民元を超える見込みである。また、初めてトップ10入りする見通しのGigaDeviceは、NORと32ビットMCUの市場で高い性能を発揮した製品を展開しており、2017年の売上高は前年比40%以上の増加となる21億元に達すると予想されている、
なお、プロセス技術の進歩を背景に、中国の半導体産業は2018年も成長を続ける見通しのほか、同国内市場における中低級製品の市場シェアも増加すると予想されている。また、中国の中央政府と地方自治体は、半導体生産の自給率向上に向け、IC設計分野への支援政策を継続していく見通しで、IoTやAI、車載半導体など、新たなアプリケーションが、こうした成長を後押しする見通しだという。