ヤフーは12月7日、2017年の振り返りと来年の展望に関するプレス向け説明会を開催した。この中で、代表取締役社長 CEO 宮坂学氏は、今後は「スマホからデータの会社になる」と語った。
宮坂氏はまず同社の業績に触れ、2016年度(2016年4月1日~2017年3月31日)の売上高が8,537億円で、2012年度の2.5倍になったと報告。要因は、広告収入増とEコマース関連のM&Aだと説明した。
なお、同社の2017年度の上半期の業績(2017年4月1日~2017年9月30日)は、売上高4,280億円(前期比4.5%増)、営業利益949億円(前期比5.4%減)となっている。
Eコマースの国内流通総額は、2016年度は2012年度の2倍の1.8兆円になり、月間アクティブユーザー数(月内に1回でもログインした数)は3,898万人で5年で2.4倍になった。
同氏は、「年度でデコボコはあるが、着実に前に進んでいる。2012年当時はパソコンのヤフーといわれており、スマートフォンでもヤフーといわれるようになろうと、PCからスマホへ舵をきった。その結果、2013年度は3割くらいがスマホのページビューだったが、2016年度は58%となり、PCよりもスマホのほうが多いトラフィックの会社に生まれ変わることができた。広告売上もスマホが半数以上になっているほか、Eコマース流通量も、今年は半分を超え、スマートフォン比率が高まっている。現在では、すべての面でパソコンのヤフーからスマホのヤフーに生まれ変わることができた」と、スマホシフトが一定の成果を挙げているとの認識を示した。
今後はデータ活用を強化
そして、今後は「スマホからデータの会社になる」と、新たな戦略を示した。
同氏はその理由を、「現在のインターネットサービスは、すべてがパーソナライズされており、そのエンジンとなるのがデータだ。大事なのは他社にはない、独自のエンジンを持つことだ。われわれの目標はメディア、EC、位置、オフライン決済、メールなどのデータを組み合わせてパーソナライズするハイブリッドなエンジンをつくりあげることだ。現状はメディアのデータでメディアのユーザーを、EコマースのデータでEコマースのユーザーをパーソナライズしているが、これをハイブリッドにしたい。来年度以降は、スマホ決済やビデオ視聴データの部分も取り込み強化したい」と述べた。
ビデオ視聴に関しては、同社のメディア事業では、動画領域の強化を行っており、すでに「日テレNEWS24」「TBSニュースバード」のBS放送をリアルタイムで配信している。これにより、動画視聴時間は前年同四半期ベースで約3.3倍になっており、2018年は動画枠を拡大し、エンタメ、スポーツなどを中心にライブ動画を配信していくという。
また、Eコマース部門では「買う場合も、売る場合も一番お得な場所になる」を目指し、2020年初頭に、Amazonや楽天を抜いて、国内No.1のECサービスになることを目指すという。
これまでは、ソフトバンクのスマホユーザーへのTポイント付与などの連携強化や、11月11日の「いい買い物の日」の取り組みなどを行っている。「いい買い物の日」は、中国のアリババが行っている独身の日にあわせたものだが、今年は3年目で、EC取扱量は前年の1.5倍、11月11日の取扱高は前年比140%増と、成果が上がっているという。そして、今後は、Yahoo!マネーの利用拡大と買取サービスの強化を行っていくという。