市場動向調査企業IHS Markitは、2018年のフラットパネルディスプレイ(FPD)の面積ベースの需要は、前年比7.2%増の2億1000万m2となり、2014年以降における最大の成長率となるとの見通しを発表した。

同社ディレクターのRicky Park氏によると、この成長は主に「パネルの大型化」、「パネル価格の低減」、および「世界経済の回復」の3つの要因によりもたらされるという。

  • FPD需要(面積ベース)の前年比増減率(%)の推移

    FPD需要(面積ベース)の前年比増減率(%)の推移。2016年までは実績、2017年以降は予測 (出所:IHS Markit)

面積ベースでのFPDの需要増は、パネル価格の下落および、それに伴う最終製品の価格下落によるものであり、それにより消費者のディスプレイ搭載機器に対する需要が刺激されることが予想される。中でも第10.5世代の液晶パネルファブが2018年上半期に稼動する予定であることから、65型や75型といった大型TVパネルの供給が今後増加していくことが予測されている。

また、スマートフォンもベゼルレスフレキシブル有機EL(OLED)ディスプレイの採用件数が増加することで、スマートフォン全体のディスプレイサイズの拡大につながることが期待され、Park氏も「大画面の新製品が登場すれば、古いスマートフォンを交換する消費者の需要が高まるはずだ」と述べている。

2000年代後半に開始されたデジタル放送への移行のように、今後、FPDを用いたテレビ市場は買い替えによる需要の伸びが見込まれている。2000年代後半にデジタルへの移行が進んだ際のテレビの売り上げは、2009年と2010年に10〜21%増となっており、2004〜2014年の年平均成長率3%を大幅に上回っている。「テレビの買い替えサイクルは一般的に10年とされていることを考えると、今後数年のうちは買い替え需要の高まりが期待できる」と言う。また、同氏は、「2018年は2月に予定されている韓国平昌冬季五輪や、6月のロシアでのサッカーW杯といったイベントによる新型および大型テレビの需要の増加で勢いを増すだろう。主要な世界的なスポーツイベントは偶数年に開催されるので、これまでも偶数年のパネル販売は、奇数年より速いスピードで伸びている」とも指摘しており、2018年にディスプレイ需要が伸びる背景を説明する。

さらに、世界経済が回復傾向にあることもパネル需要の好調さを後押しする要因となっているという。IHSによると、世界の国内総生産(GDP)は2016年が2.5%成長、2017も3.1%成長になると見られるほか、2018年も3.2%成長が予想されているという。特に、北米のほか、インド、ブラジル、ロシアといった新興市場における景気が前年よりも回復すると予想されている。

ただし、パネルの出荷面積は需要の増加により伸びるものの、価格圧力が高まるとも見られており、売上金額ベースでは、2017年下半期のパネル価格の下落が2018年も継続することから、前年比1%増の1260億ドルに留まる見通しだという。