市場動向調査企業であるIHS Markitは11月30日(英国時間)、世界の半導体市場の動向として2017年第3四半期(7~9月期)は、前四半期比12%増の1139億ドルに達したと発表したほか、通年の市場規模が、前年比21%増の4289億ドルに達するとの見通しを示した。
2017年の市場の動きとしては、メモリばかりに目が行きがちであるが、IHSは通信向け半導体も高い成長を示している点に注目する必要があるとしている。第3四半期の通信用半導体市場は348億ドルと四半期ベースでは計測開始以来の最高値を記録し、半導体市場全体の31%を占めたとしている。また、第4四半期も375億ドルへと成長することが見込まれ、通年でも1310億ドルに達すると予測している。主な背景として、ハイエンド・スマートフォンが好調であり、高機能な半導体が多数使われているためであるという。
企業別の業績を見ると、売上高トップ5の企業は、Samsung Electronics、Intel、SK Hynix、Micron Technology、Qualcommとなっており、DRAM価格高騰の後押しを受けたメモリメーカーが3社入ったほか、5社の売上高合計は、業界全体の売上高の44%を占めており、メモリ市場の影響が大きいことを示している。また、リスト非公開だが、売上高トップ20社のランキングでは、NVIDIAがトップ10入りを初めて達成したほか、前四半期比でAppleが46.6%、AMDが34.3%と高い成長率を示したという。
また、メモリメーカーのみのランキングを見ると、順位としてはSamsung、SK Hynix、Micron、東芝、Western Digitalとなっており、4位の東芝までは、前四半期比で2桁成長を達成している。
なお、Samsungメモリ事業の売上高は同社の全半導体売上高の87%を占めており、将来に備えて脱メモリを図ろうというSamsungの李健煕 会長の10年来の方針は、いつまでたっても実現しそうにない状況といえる。