NTTデータと三菱東京UFJ銀行は12月5日、NTTデータの「ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤」とシンガポールの貿易プラットフォームであるNTP(National Trade Platform)との接続に向けた実証実験(PoC)を開始した。今回のPoCでは、クロスボーダー取引における安全性、効率性、透明性を高めるための課題を特定し、解決策を検討し、実施期間は2018年3月末までを予定している。

  • 実証実験の概要

    実証実験の概要

現在、国や地域の経済連携協定など、各所で自由貿易実現への取り組みが推進されており、クロスボーダーの貿易取引においては、貿易事業者や金融機関などの関係者間で数十もの文書が主に紙やメールでやり取りされている。しかし、貨物の到着に書類が間に合わないなどの事象を起こす可能性があるため、貿易取引の関係者間で、さらなる貿易文書の効率化、スピード化が課題となっているという。

このような状況下において、シンガポールはSmart Nationというデジタルエコノミーを推進する計画を掲げており、特に貿易金融の領域についてはシンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore:MAS)が中心に進めている。シンガポールは、香港をはじめとした国々と接続していくことを目指し、NTPを再構築している。

一方、NTTデータは日本における貿易文書のブロックチェーンによる電子化を推進し、貿易関係者である銀行・保険・総合物流・船会社・輸出入者などの各業界を代表する国内13社とともに「ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤実現に向けたコンソーシアム(以下、コンソーシアム)」を発足し、活動を進めている。

三菱東京UFJ銀行は、シンガポールのNTPワーキンググループおよびNTTデータが主導するコンソーシアムの両プラットフォームに参加する金融機関として、顧客利便性の向上および金融業界全体の発展に資する両プラットフォームの橋渡しを行うとともに、PoCへの参加を決定した。

今回のPoCで両社は、NTPプロジェクトオフィス(NTPを推進する組織)の協力の下、NTTデータの進めるブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤のプロトタイプとNTPのAPIによる接続を試み、クロスボーダー取引における安全性、効率性、透明性を高めるために必要な課題を特定し、解決策を検討する。

これにより、クロスボーダー取引の効率化と透明性を向上させることに加え、より大きな範囲で貿易やサプライチェーンを接続する電子化基盤の構築に向け寄与していく。3者の役割としてNTTデータは、日本側の貿易プラットフォームのPoC用環境の構築、インタフェースの提供、三菱東京UFJ銀行は貿易金融などの実貿易取引におけるユースケース情報の提供と試験への参加、NTPプロジェクトオフィスNTPの環境、インタフェースの提供をそれぞれ担う。

今後、両社は貿易文書の共有に伴い、発生する技術的課題の解決に取り組むことにより、アジア地域をはじめ、国内外の貿易の円滑化に貢献していくという。