ベリタステクノロジーズ テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員 高井隆太氏

ベリタステクノロジーズは11月30日、SDS(ソフトウェアデファインドストレージ)の新製品として、オブジェクトストレージ「Veritas Cloud Storage」を12月4日より提供開始すると発表した。

新製品の特徴は、独自の分類エンジン「Integrated Classification Engine」を搭載し、ペタバイト規模の非構造化データにも対応できる点。

データ管理に関する課題を全方位的に解決するという同社のビジョン「360度データ管理」の柱の1つに「ストレージ最適化」を据えており、新製品はこれを具現化するもの。

テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員を務める高井隆太氏は、「われわれは、他社と異なり、ストレージ技術の特性ではなく、データ管理の特性に応じて、ストレージの最適化を進めている」と、同社のストレージ製品に対するスタンスを示した。

ベリタスは既にSDS製品として、Tier1システム向けの「InfoScale Enterprise」、ファイルサーバ向けの「Access」、OpenStack/コンテナ向けの「Veritas HyperScale for OpenStack」を提供しており、今回、4つ目のSDS製品のラインアップが加わった格好だ。

  • ベリタスのSDS製品のラインアップ

米Veritas Technologies プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント デビッド・ノイ氏

続いて、米Veritas Technologies プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるデビッド・ノイ氏が、ベリタスのSDSに対する取り組みについて説明した。同氏は、EMCからベリタスに移ってきた理由を「ベリタスは他社とは一味違う製品を作っているから」と話した。

ノイ氏は、競合製品に対する同社のSDS製品の差別化のポイントとして、「データからインサイトを獲得」「ストレージ管理の簡素化」「ストレージのサイロ化を解消」「パフォーマンスの向上」を挙げた。

「Veritas Cloud Storageは分類エンジンを搭載しているので、データを分類して、メタデータを付与している。これにより、インサイトを得ることができる。われわれはハードウェアではなく、管理やインテリジェンスにフォーカスしているので、ストレージのサイロを解消できる。これは最も大きな差別化のポイントだ。メタデータはその企業のシングルカタログとして管理しているので、大規模な環境でも利用可能にしている」

さらに、ノイ氏は、「分散型オブジェクトストレージを提供しているベンダーはマルチサイトへの対応をうたっているが、実のところ、1つか2つのサイトにしかアクセスできないことが多い。われわれは違う。シングルカタログを提供しているため、世界のどこからでもデータにアクセスすることを可能にしている」と、Veritas Cloud Storageを利用するメリットを説明した。

  • 「Veritas Cloud Storage」を利用するメリット

今回、「Veritas Cloud Storage」は第1弾として、ソフトウェア版が提供され、2017年第4四半期にアプライアンス版が提供される予定だ。

ベリタステクノロジーズ インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクト 星野隆義氏

「Veritas Cloud Storage」の詳細については、インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクトの星野隆義氏が説明した。同氏は、ベリタスの次世代ストレージ戦略の5つの要素として、「Custom Metadata」「Classification(分類)」「Action for BI」「Geo Awareness」「Scalability(拡張性)」を挙げた。これらのうち、「Custom Metadata」「Classification」「Action for BI」は特に競合に対する差別化のポイントとなるという。

「Veritas Cloud Storage」では、「データの格納」「メタデータの付与」「データの分類」「追加メタデータの付与」という行程を経て、データの有効活用を実現する。データを有効活用するカギの1つに、メタデータはユーザーの要件に合わせて取捨選択が可能な点がある。また、データの分類も、正規表現、近似検索、キーワードリストなどのルールをユーザーが設定できる。

  • 「Veritas Cloud Storage」の機能

データの分類を行うエンジン「Integrated Classification Engine」は、約60種類の定型ポリシーと約100種類の検出パターンを備えている。同エンジンは既に「Enterprise Vault」や「Data Insight」には搭載されているが、今回、ユーザーによる検出パターンのカスタマイズが可能になった。

また、追加できるメタデータとしては、「他のサイトへの移動禁止」「リスクがあるデータの削除」などがあり、データの漏洩などのリスクを抑えることにも役立つ。

これら5つの要素がもたらすメリットについて、星野氏は「ストレージコストの最適化と柔軟性は当たり前のこと。われわれはさらに、データガバナンスとデータの有効利用を実現する」と語った。