大成建設は、横河電機、長野日本無線、東京大学と共同で、NEDO委託事業において、高精度なMEMSセンサを用いて構造物の挙動の計測結果から、迅速に構造物の健全性を評価するモニタリングシステム「T-iAlert Structure」を開発し、実証実験によりその有効性を確認したことを発表した。
大規模地震の発生後は、構造物の健全性を迅速に判断することで、その後の余震による二次災害を回避でき、インフラ構造物や生産施設などの事業継続計画(BCP)の早期立案が可能となる。従来は構造物の各所に多数設置したMEMSセンサで構造物の健全性を確認する方法があったが、センサへの配線や数年毎のセンサの交換、メンテナンスが必要といった課題があった。
こうした課題を解決するため、大成建設などの4社が開発した「T-iAlert Structure」は、長期間メンテナンス不要のMEMSセンサを数箇所に設置し、配線不要な無線通信を用いて地震発生前後に構造物に生じる振動やその変化を高精度に把握し分析することで、構造物の健全性を迅速に評価できるモニタリングシステム。
同システムは、構造物に生じたわずかな変形や微小な振動などの変化までも長期間にわたり正確に計測できる「MEMSセンサ技術」(開発:横河電機)、構造物に影響されにくい920MHz帯の電波を用いて無線通信を行う「無線通信技術」(開発:長野日本無線)、センサが取得する観測データから、構造物の固有振動数やひずみ、傾斜角度を読み取り長期間の経時変化を監視できる「構造物の健全性評価技術」(開発:大成建設、東京大学)という3つの技術で構成される。
今後は、2018年度までにNEDO委託事業の実施方針計画に準じて、既存建物や土木構造物などのインフラ構造物を対象とした実証実験を積み重ね、同時に公共性の高い学校、病院、橋梁や生産施設などのBCP対策への提案を行いながら、2019年度4月から順次実施導入に向けた展開を進めていくということだ。