ジェイテクトは、 2017年9月にBR蓄電デバイス事業室を組織し、取り巻く環境の変化を先読みした持続的成長の柱となる新領域のひとつとして、蓄電デバイスである「リチウムイオンキャパシタ」の開発を進め、 2019年の量産を目指すことを発表した。
「キャパシタ」とは、物理的に電力を充放電する蓄電池のこと。蓄電容量は限られている代わりに一度に高いエネルギーを放出する瞬発力が特徴であるが、 リチウムイオン二次電池同様に耐熱性に課題があった。
車両に搭載するために要求される環境温度は、エンジンルーム内で-40℃〜125℃、車室内で-40℃〜85℃である。これらの条件に対し、同社製のリチウムイオンキャパシタは、独自技術により-40℃〜85℃まで使用可能となり、車室内での使用要求に適合する。さらには、出力する上限電圧を制限すれることで105℃まで高温環境で使用可能となる。
昨今は燃費規制の拡大、高度運転支援・自動運転の普及・拡大を受け、省エネ・自動運転化に貢献する電動パワーステアリングの適用範囲の拡大が求められている。大型車両へのEPS搭載には12Vの車両電源では出力が不足しているが、キャパシタと充放電コントローラーを従前のEPSに付加することで、車両電源の12Vに対しキャパシタからの6Vの電圧を付加し18Vの高出力化を実現して、EPSの適用範囲の拡大に貢献する。
なお、同社は「リチウムイオンキャパシタ」の2019年の量産を目指し、既存事業の製品に搭載しての拡販を進めるとともに、製品単独での販売も計画している。キャパシタ単体販売、バランス回路を組み合わせたモジュール販売、充放電コントローラーも組み合わせたシステム販売も行う予定とのことだ。 また、自動車業界のみならず、工作機械、建設機械、鉄道、発電装置、交通インフラなど様々な領域での拡販をすすめ、その用途も補助電源、予備電源、発電装置の機能安定化、電源回生、さらにはメイン電源と顧客のニーズに沿った様々な形で貢献するとしている。