米Texas Instruments(TI)は11月28日(米国時間)、同社のMSP432シリーズMCUの新製品として、EthernetのMACとPHYを統合した「MSP432E4」シリーズを発表した。これに先立ち日本時間の11月22日、日本TIにて説明会が行われたので簡単にレポートしたい(Photo01)。
MSP432E4シリーズは、コネクテッドデバイスのいわばゲートウェイになることを目指した製品である。目的としては、コネクテッドデバイスがどんどん増えてくる中で、それらを個別にクラウドなりフォグなりにつなぐのではなく、当然ゲートウェイが必要になってくるだろう、という読みに基づいてのことだとする(Photo02)。具体的には、今後はインテリジェントゲートウェイが増えてくるだろうという話で、ここを狙う製品となる(Photo03)。
このために同社が用意するのは、もちろんEthernetを内蔵するのは当然なのだが、すでに存在するCortex-M3ベースのCCxxxxシリーズのSimpleLinkと共通のソフトウェアを利用できる様にすることだとする(Photo04)。
そのMSP432E4の特徴がこちら(Photo05)である。MSP432E4自身はワイヤレスは搭載しないので、これが必要であれば別途SimpleLinkシリーズのどれかと組み合わせることになるが、逆に有線でのコネクティビティを異様に強化したのが特徴である。Photo06が内部構成であるが、機能の多い上位モデルのMSP432E411Yの場合、以下のようなかなり重厚なI/Fを搭載している。
- 10/100BASE-T MAC&PHY w/IEEE 1588 PTP H/W Support
- USB 2.0 Host/Device/OTG w/ULPI I/F
- UART×8
- QSSI(Quad Synchronous Serial Interface)×4
- I2C×10
- CAN 2.0A/2.0B×2
- 1-Wire Module×1
- 12bit/2Msps SAR ADC×2
- Analog Comparator×3
- Digital Comparator×15
- 8/16/32bit EPI(External Peripheral Interface)
- GPIO×22
プロセッサコアそのものは120MHzのCortex-M4Fであるが、こちらも1MBのFlash(4Bank構成)と256KBのSRAM(120MHz駆動時の帯域は2GB/sec)、6KBのEEPROMを搭載、さらにAES128/192/256やDES、SHA/DM5、CRCチェックなどに対応し、アンチタンパ性を持ったセキュリティユニットを搭載している。またSimpleLink SDKに対応した内部ROMも実装されるという、かなり重装備の構成となっている。
これをサポートするSDKも充実しており、RTOSからネットワークスタックまで一通り提供される(Photo07)。ちなみにSDKを見る限り、RTOSとしてはTI-RTOSが提供される模様だ。
具体的なMSP432E4の利用例としてTIが示したのはビル管理システム(Photo08)や工場内のIntelligent Gateway(Photo09)である。こうした使い方を前提にしているためか、MSP432E4は動作温度範囲が通常の-40℃~85℃ではなく、-40℃~105℃になっているのもちょっと特徴的だ。
開発環境としてはSDKが無償提供されるほか、LaunchPadが19.99ドルで提供されるという話であった(Photo10,11)。
ちなみにそのMSP432E4だが、パッケージは212BallのNFBGAで提供され、MSP432E401Yは9.03ドル(1000個ロット)、MSP432E411Yは11.02ドル(1000個ロット)ですでにサンプルおよび量産出荷を開始している。