日立製作所は11月28日、都内で記者会見を開催し、グループやグローバルで活用できる人財マネジメントの仕組みを確立するため、新たな「人財マネジメント統合プラットフォーム」を構築したと発表した。同プラットフォームはクラウドサービス「Workday」の導入により実現し、同社が2012年度から取り組んできたグローバル人財マネジメント施策をはじめ、人材に関する情報やプロセスを統合し、グループ・グローバルで一元管理することができるという。

  • 「人財マネジメント統合プラットフォーム」の概要

    「人財マネジメント統合プラットフォーム」の概要

同プラットフォームは従業員1人1人の経歴やスキル・専門分野やキャリア志向など、人財情報の一元管理が可能であり、組織と人財のさらなる見える化を実現することから、グローバルに最適な人財配置や各従業員に応じた育成計画などの人財マネジメント施策に活用する。

日立製作所 執行役常務 CHRO兼人財統括本部長の中畑英信氏は「われわれの社会イノベーション事業の推進とグローバル事業の拡大を見据え、人財マネジメントも転換が必要である。そこで望まれる人財・組織体制は、国籍や性別などの区分なく現地マーケットを知る人財や、国・場所を越えたワンチームでの業務遂行、顧客の課題を的確に捉え、解決策を考える人財と文化を持つ組織となる。そこで、人財マネジメントは、日立グループ内外・国籍・性別・年齢など問わず最適な人財を確保・育成・配置、場所・時間にとらわれず多様な人財がともに働く体制・グローバル共通の制度、能動的に動く組織文化・マインドの醸成が求められる」と指摘した。

  • 日立製作所 執行役常務 CHRO兼人財統括本部長の中畑英信氏

    日立製作所 執行役常務 CHRO兼人財統括本部長の中畑英信氏

  • 求められる人財マネジメントの概要

    求められる人財マネジメントの概要

同社では人財は成長の原動力であり、世界中の多様な人財が能力を最大限に発揮することが「2018中期経営計画」において「IoT時代のイノベーションパートナー」となるために重要であると位置づけていることから、進化した社会イノベーション事業をグローバルに展開していくことで達成するという。

具体的には、従来の単に製品・システムを顧客に提供するのではなく、IoTやAI、ビッグデータなどのイノベーションを含むサービスを提供し、顧客・社会の現在と将来の課題を解決するとしている。今後、成長を継続していくためには日本における事業規模を維持しつつ、海外での成長が不可欠であり、2018年度の海外売上高比率は55%、海外人員は44%をそれぞれ計画し、グローバル事業の拡大が必須となる。

これまで同社では、2012年からグループ・グローバル共通の人事制度・施策を導入しており、同年に35万人の人財情報をデータベース化した「グローバル人財データベース」、2013年にはグローバルのマネージャ以上の5万ポジションを格付けした「グローバル・グレード」、2014年には同じ評価システムで評価する「グローバル・パフォーマンス・マネジメント」、2015年には新しいラーニングシステムとして「ラーニングマネジメントシステム」を導入している。

  • これまでの人財マネジメントの取り組み

    これまでの人財マネジメントの取り組み

これら多様な人事システムを構築してきたが、一元管理・見える化したものとして人財マネジメント統合プラットフォームを構築した。中畑氏は特徴として「グループ・グローバル共通の統合プラットフォームであり、データベースをシステムに組み込んでいるため人事異動の情報も常に最新のものとなる。社員がPC・スマートデバイスからいつでも、どこからでもアクセスが可能だ。これにより、情報の見える化とOne System、データ分析の3点を実現できる」と、説明した。

  • 人財マネジメント統合プラットフォームの特徴

    人財マネジメント統合プラットフォームの特徴

同プラットフォーム上で管理される情報は個人基本情報(氏名、所属、連絡先)、報酬情報(給与、賞与)、ポジションマネジメント(ミッション、レポートライン、グローバルグレード)、パフォーマンスマネジメント情報(目標、評価)、キャリア情報(業務歴、スキル、語学力、資格、研修受講歴、キャリア志向)となる。

  • 活用例(1)

    活用例(1)

  • 活用例(2)

    活用例(2)

  • 活用例(3)

    活用例(3)

  • 活用例(4)

    活用例(4)

  • 活用例(5)

    活用例(5)

  • 活用例(6)

    活用例(6)

すでに、同プラットフォームは2016年2月からアメリカ、インド、中国、日本においてパイロット導入しており、2018年1月から日立製作所を中心に5万2000人、将来的には国内外のグループ会社を含め25万人を対象に導入を計画している。

最後に「われわれでは社会イノベーション事業をグロバールに推進し、成長とももに社会に貢献することがミッションだ。そのためには、グループ・グローバルの多様な人財の価値を最大発揮することが重要であり、プラットフォームの構築でグローバルにおいて見える化し、多様な個を活かした人財マネジメントを可能していく」と、同氏は述べた。