TrendFoeceのメモリ市場調査部門であるDRAMeXchangeは11月20日、2017年第3四半期のNAND市場は、スマートフォンとサーバ需要に支えられて、前四半期比14.3%増の151億1600万ドルとなったと発表した。
背景には、民生分野であるスマートフォンの需要増や、サーバ/データセンターにおける需要が増加していることが挙げられ、DRAMeXchangeのNANDフラッシュメモリ担当シニアリサーチマネージャーであるAlan Chen氏は「第4四半期のNANDの需要と供給のギャップは前四半期比でさらに大きくなっている。しかし、すべてのNAND製品群の大口契約価格は、長期にわたる継続的な価格上昇の結果、第3四半期では最大で6%程度の増加に留まっており、OEM企業が支払い可能な上限に近づいていることがうかがえる」と述べている。
2018年は供給過剰となる可能性が出てきたNAND
また第4四半期についてChen氏は、「スマートフォンの需要の増加を除くと、需要は緩やかに増加すると予想される。そのためNAND価格は、値上がりしないか、値上がりしてもごくわずかに留まると見込まれる」との見通しを示す。この背景としては、64/72層の3D-NANDが量産されるようになる結果、市場では需供バランスが徐々に整うことが期待されるためである。NANDメーカーは、デバイス価格が依然として高止まりのために、第4四半期も高い収益を維持すると見込まれるが、64/72層の3D-NAND生産が成熟し、かつ半導体のオフシーズンとなる2018年の上半期に入ると、NAND市場は一転して過剰供給に陥る可能性があるという。
各社ともに3D-NANDへ注力
トップシェアを有するSamsung Electronicsの2017年第3四半期のNAND売上高は、サーバ需要とスマートフォンメーカーの新たなフラッグシップモデルの発売、そして大容量アプリケーションへの強い需要の結果、ビット出荷の増加により前四半期19.5%増の56億2000万ドルとなったほか、営業利益率も記録を更新した。また、同社の64層NANDフラッシュメモリは広いアプリケーションに適用が進んでおり、2017年末までに同社のNAND生産における3D-NANDの割合は50%を超えると予測されるという。
シェア2位の東芝の売上高は、スマートフォンの需要増加と、SSDの容量増加トレンドにより、前四半期比18.1%増となる27億4000万ドルとなった。また、同社も第3四半期より64層NANDの量産を正式に開始しており、2017年末までに3D-NANDの生産割合を全体の30%まで高め、2018年末には50%超とするものと予想されるという。
シェア2位に肉薄する3位のWestern Digitalの売上高は、SanDisk事業の成長などから、同8.9%増の25億2000万ドルとなった。生産技術面では、64層NANDの成熟が進んでおり、同製品を搭載したSSDも第3四半期より本格量産が開始され、すでに大手OEMにて評価を受けている段階であるほか、64層NAND製品として、モバイル製品にも搭載される見通しだという。
シェア4位のMicron Technologyの売上高は、SSDならびにモバイル機器の需要の増加に併せ、同7.7%増の18億4000万ドルとなった。生産関連としては、Intelとの合弁会社IM Flashが3D-NANDの研究開発に注力しており、現在、32層NANDが十分な歩留まりを実現できるレベルに到達したほか、64層NANDも本格量産段階に入っており、歩留まりの安定的向上が期待されている。
シェア5位のSK Hynixの売上高は、中国のスマートフォン需要などを背景に、同15.4%増の15億400万ドルとなった。同社は、今度の生産能力計画の観点から、48/72層NANDの生産能力拡大を継続して進めてきており、第4四半期は72層NANDの量産比率を高め、2018年のさらなる成長を目指す模様だという。
そしてシェア6位のIntelの売上高だが、エンタープライズ向けSSDの需要拡大により、同2%増の8億9100万ドルとなった。同社が扱うNANDの90%以上がSSD向けで、エンタープライズ向けSSDに関しては、カスタマのPurleyプラットフォームへの切り替えが進むにつれ、PCIeインタフェースが主流になりつつあり、同社としては、そうしたカスタマと長期契約を締結することで、将来の収益拡大を目指しているという。