TrendForceが2018年のICT産業および半導体などの周辺産業の10大トレンド予測を公開した。それによると、半導体の微細化競争が再燃するほか、小型LEDがスマートフォンのバックライトに採用される、太陽光発電市場を中国が牽引する、といったことが記されている。
以下に10大トレンドのタイトルのみを箇条書きで記す。
- 半導体ファウンドリ大手4社の微細化技術競争が再燃する
- 金融業界がブロックチェーンの商業展開を主導する
- 仮想現実市場はスタンドアローン・ヘッドフォンに注力する
- 先進的生体認証技術がスマートフォン市場に進出する
- 中国がグローバルな太陽光発電市場を動かす
- レベル4の自動運転車の実現で完全自動運転車へさらに近づく
- ミニLEDがスマートフォンのバックライトに採用される
- AIに基づくサービスの増加がクラウドおよびエッジコンピューティングを加速させる
- もっと多くのスマートフォンが全画面スクリーンを採用する
- 5G時代の到来は新しいアプリの需要を生み出す
クラウドコンピューティングへの従来のアプローチ手法は、データをクラウド上にアップロードし、その後、処理や分析を実施するというものであったが、より迅速なフィードバックを現場で得るためには、エッジコンピューティングを導入する必要が出てきた。そうなると、エッジ側にも高い処理性能が求められるようになる。TrendForceでは、2018年には、エッジコンピューティングが本格的に立ち上がることで、デジタルデータのさらなる効果的かつ価値のある利用がさらに進むと見ている。また、ブロックチェーンの活用も2017年に実用段階に突入。2018年には、大規模な市場テストが進み、さまざまなアプリケーションの実現可能性が模索されることが期待されるが、その主導権は金融業界にあり、彼らは当局と協力する形で業界標準の策定が進められることが見込まれるという。
また、そうしたアプリケーションを活用するためのモバイルワイヤレス分野での進展も2018年に起こることが予想されている。特に5Gの商用化は、冬季五輪が開催される韓国のほか、日本、米国、中国などが積極的に展開していくことが見込まれるほか、次世代Wi-Fi技術である802.11axやBluetooth Meshの普及なども期待されるとしている。
アプリケーション分野では、VRヘッドセット分野がスタンドアロンの無線ヘッドセットの開発が進むことが期待される。また、スマートフォン分野ではiPhone Xが3D顔認識技術を導入したように、他のブランドも先進的な生体認識技術を導入することが期待されるほか、全画面ディスプレイの採用比率が高まることが期待される。さらに、バックライト技術としても、サイズが100μm未満のマイクロLEDの実用化には技術的な課題が多いため、その前段階となるサイズ100μm~200μmのミニ(小型)LEDをフレキシブル基板上に設置するようになることが予想され、実際に多くのサンプル製品のデモが各所で実施される可能性が高いとTrendForceでは見ている。
さらに、アプリケーションの性能を左右する半導体分野については、車載向けには、自動運転のレベル4の実現に向けた半導体チップの出荷が開始される見通しであるほか、10/7nmプロセスに対応するファウンドリもTSMC、Samsung Electronicsの2社からIntel、GLOBALFOUNDRIESも加わり4社が提供することになる見通しで、プロセス技術としてはほぼ横一線で並ぶこととなる見通しだ。そのため2018年には、IntelとTSMCがスマートフォン向けアプリケーションプロセッサ市場で競合する可能性がでてくるほか、SamsungはファウンドリをシステムLSI事業から切り離した初年度となり、7nmプロセスにEUVを投入することで、他の競合企業との差別化を図ることが見込まれるとTrendForceでは説明している。
なお、このほか、太陽光発電市場にもTrendForceは言及している。2017年の太陽電池による世界の発電需要は100GWを超えることが予測されており、そのうちの50%を中国が占めるという。こうした中国の太陽光発電市場に対する貢献は2019年まで継続することが見込まれるとTrendForceでは説明するほか、中国の太陽光発電メーカーの製品が、世界の太陽光発電能力の70%以上を占めるとも推定しており、価格、生産能力、技術の幅広い分野にわたって、中国メーカーの発展が世界の太陽光発電産業そのものに直接的な影響力を及ぼす可能性が高いとしている。