デンソーウェーブは、ベッコフオートメーション、エクサウィザーズと3社共同で、多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームをディープラーニングでリアルタイム制御し、不定形物を扱う複数の作業を同一のロボットアームで実現する「マルチモーダルAIロボット」を開発したと発表した。

マルチモーダルAIロボット

「マルチモーダルAIロボット」では、ユーザーによるプログラミングが存在せず、ディープラーニングとVR技術を用いることで、人が人に作業を教えるのと同じようにロボットに作業を学習させることが可能となっている。従来のロボットシステムでは、多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームで不定形物を扱う複数の作業をロボットに実行させるためには、莫大な量のプログラムを組む必要があった。同システムでは、全天球カメラを利用したVRティーチングシステムによって、アームの軌道を直感的に教えられるようになり、複雑なプログラムを組むことなく人の作業を覚えさせることができる。なお、同案件は、ベンチャー企業であるイクシーから多指ハンドの提供を受け、AIロボットの研究で知られる早稲田大学理工学術院の尾形哲也教授からのアドバイスを受けているということだ。

ベッコフオートメーションの川野社長は次のように述べている。「今回オープンシステムを推進する3社が結集し、ORiN、TwinCAT、EtherCAT、ディープラーニングなど、それぞれの汎用的な要素技術を組み合わせ、ハードウェアの開発を一切せずに短期間かつ現実的なコストで『マルチモーダルAIロボット』を構築できたのは、最先端技術の民主化の象徴として特筆すべきと考えます。また、本システムでは神経系処理をCPUでリアルタイム処理し、認知系処理をGPUで並列処理するシステムを同一のIPCに実装しました。このコンセプトを『インテリジェントコントローラ』としてロボットに限らずさまざまな生産財の知能化に応用していく所存です」

なお、「マルチモーダルAIロボット」は、東京ビッグサイトで11月29日~12月2日に開催される「2017国際ロボット展」のデンソーウェーブブース、および11月29日~12月1日に開催される「システムコントロールフェア(SCF)2017」のベッコフオートメーションブースに展示される。展示では、ディープラーニング技術で学習した双腕型ロボットが、タオルを畳んだり、サラダを盛り付けたりする様子を見ることができる。また、VR技術を活用したVRティーチングシステムの体験もできるということだ。