アドビ システムズは11月22日、都内で記者会見を開き、「Adobe Analytics Cloud」に含まれる分析ソリューション「Adobe Analytics」をアップデートし、プライベートDMP(データ管理プラットフォーム)「Adobe Audience Manager」との連携を強化したと発表した。なお、米国では11月1日に発表している。
これにより、Adobe Audience Macagerでオフラインのデータやセカンド/サードパーティデータを統合して、作成した顧客セグメントのデータをAdobe Analytics上で分析し、オウンドメディア上でどのような行動をしているかを分析することが可能になるという。
また、Adobe Analyticsの「Virtual Report Suite」の機能を強化し、マルチチャネルでより詳細なカスタマージャーニー分析を実現する「Context-Aware Session」と位置情報を可視化する「Adobe Analytics Analysis Workspace Map Visualization」を追加した。
Adobe AnalyticsとAdobe Audience Managerの連携
Adobe Audience Managerは、Adobe Analyticsで計測している情報を中心にオフラインのデータやセカンド/サードパーティパーティーデータを統合してセグメントを作成し、コミュニケーションに活用するソリューション。
アドビ システムズ グローバル サービス統括本部 プロダクト エバンジェリスト兼シニアコンサルタントの安西敬介氏は「これまでもAdobe AnalyticsのデータをAudience Managerで使えるようになっていたが、今回追加した機能はAudience Managerで作成したセグメント情報を、Adobe Analyticsによる分析を可能にした。例えば、セカンド/サードパーティのデータを取り込み、Audience Manager上でセグメントを作成したときに、これらのデータがサイト上において、どのような振る舞いしているのかといった分析ができなかったため、シームレスに裏側で連携することで分析を可能としている」と説明する。
具体的には、従来は複数のソースで集めて作成したAdobe Audience Manager上のセグメントがオウンドメディア上でどのように行動しているかの分析ができていなかったが、今回の連携による機能強化により、Adobe Audience Manager上で作成されたセグメントごとのコンバージョンへのインパクトや動線などをAdobe Analyticsのワークスペース機能「Analysis Workspace」で利用を可能にした。
セグメントごとにAdobe Analytics上で計測している様々なデータとのクロス分析を行うことも可能とし、Adobe AnalyticsとAdobe Audience Managerの連携が強化されたことで、分析により作成されたセグメントの特徴を知り、パーソナライゼーションを広告、オウンドメディアを通して実現するという。
モバイルアプリに特化した機能とマップ機能
Context-Aware Session機能はAnalysis Workspaceに追加し、セッション(Adobe Analyticsの訪問)の内容を柔軟に定義し、マルチチャネルのカスタマージャーニーをより正確に分析できるようにした。
これにより、パラメーターを臨機応変に定義し、過去に遡って適用できるようになったため、ユーザーがアプリで費やす時間をより詳細に定義することで、分析に有効なコンテクストを得られるとしている。
安西氏は「セッションは、30分以上は計測するか否かなど一定の基準が存在し、課題となっていた。昨今では、モバイルアプリの分析がセッションの条件に合わなくなっており、例えば一回起動して作業・終了し、30分以内に同じアプリで別の行動をしていても同様の訪問セッションとしてカウントされる場合がある。また、プッシュ通知などを計測したいというニーズがあるものの、訪問と同じ扱いにしてしまうと違う分析になってしまう」と指摘しており、これらの課題を解決するのがContext-Aware Session機能となる。
多くのベンダーでは、モバイルアプリのセッション計測は、モバイルアプリ内にハードコードされたタイムアウトのパラメータに基づいて計測を行っているが、アプリの仕様や利用状況に応じて都度ハードコードし直す必要があるという。
同社は計測を行っているすべての行動データをサーバに移行し、そのデータを破壊することなくセッション定義を変更/適用し、別のレポートとして作成。これにより、企業は自社が提供する体験をユーザーがどのように体験しているかを、明確に把握することができるほか、将来のセッション定義の変更に対する柔軟性を保ちつつ、モバイルアプリ上での細かいカスタマージャーニーも把握することを可能としている。
また、同様に追加されたAdobe Analytics Analysis Workspace Map Visualization機能は、これまで蓄積されたアクセス情報に対して、地図上にマッピングしたデータで、ユーザーがモバイルアプリやWebサイトにどこからアクセスしているかを視覚的に把握することが可能。例えば、モバイルアプリキャンペーン中、どの店舗により多くの消費者が来店しているかを確認し、消費者の行動に合わせて販促戦略を変更することができるという。
同氏はMap Visualization機能について「これまでWebサイトのアクセスはIPアドレスから逆引きし、計測はどこからの地域からのアクセスかは確認できたが、一覧で把握する形となっていた。Visualization機能はマップ上で確認することを可能としている。セグメントを切り離して分析することもできることから、特定の商品・サービスを使っている人はどこからのアクセスが多いのかといった分析に活用することが可能だ」と述べた。