産業技術総合研究所(産総研)は、ガラスの物性測定技術や精密成型技術の普及と情報交換を目的とした「ガラス物性測定コンソーシアム」を設立したと発表した。
ガラスは、耐久性や耐熱性に優れるとともに、光透過性や高屈折率などの性質を有しており、光通信用のレンズや撮像系レンズなど、高い信頼性を必要とするデバイスへ広く活用されてきた。また、これからのIoT時代においては、従来の情報通信のみならず、産業・運輸などさまざまな分野での光学センシングなどにガラス部材の利用が広がることが期待できる。しかし、ガラスはプラスチックに比べて成形や加工が困難なため、高い耐久性や光透過性などのガラスの持つ利点が十分に生かされていなかった。
産総研では、これまでにSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)革新的設計生産技術「ガラス部材の先端的加工技術開発」などのさまざまな研究開発プロジェクトなどを通じて、ガラスの精密プレス成型や成型にかかわる粘弾性、粘性などのガラスの基礎物性測定に関わる研究を行ってきた。今回、その知見をより広く活用してもらうための情報交換の場として、コンソーシアムの設立に至ったという。
具体的には、講演会や講習会を開催し、ガラス部材の製造やそれを利用している民間企業、大学、公設試験研究機関と産総研が情報交換を行うほか、人材育成のために、基本的な知識についての講習会を開催していく予定であるとのことだ。