日本ナショナルインスツルメンツ(以下、日本NI)は、自動車に搭載されるミリ波レーダー向けのテストシステム、Vehicle Radar Test System(VRTS)をリリースしたと発表した。同テストシステムの提供は、NI製品を活用したシステムインテグレーションやサポートに長けた、アライアンスパートナー企業を通じて行われる予定となっている。

VRTSは、NIのミリ波RFフロントエンド技術と、PXIベクトル信号トランシーバ(VST)、ソフトウェアアプリケーションを組み合わせることで実現されたテストシステム。単純なシナリオのシミュレーションに留まっていた従来のレーダーシミュレーターとは異なり、VRTSに搭載された76~81GHzのベクトル信号発生器/アナライザでは、動的に障害物をシミュレートできるほか、RFの特性評価を包括的に行える。レーダーテストを行うにあたり、同テストシステムは、精度やカバレッジが重視される研究開発工程の評価・検証テストから、テストスループットが重視される量産テストまで幅広く対応でき、先進運転支援システム(ADAS)を実現する各種機能の統合テストにも活用できるということだ。

また、VRTSは、2つの障害物のエミュレーションを行うような基本的な構成から、より多くの障害物をエミュレートできる高度なものまで、様々なレベルで構成できる。主な機能として挙げられるドップラー効果のシミュレーションでは、最大時速250kmまでの相対速度で、自車と障害物の距離は最小4m、距離分解能は10cmという性能を実現している。また、複数の到来角にも対応できるほか、レーダー断面積(RCS)も変えられ、オブジェクトシミュレーション機能とレーダー向けの各種RF測定機能も含まれている。

さらに、ソフトウェアのカスタマイズ性という点も同システムの特徴のひとつで、VRTSでは道を横断している歩行者から、車両の車線変更というシナリオまでシミュレーションすることができるという。このように、カスタマイズ性に優れたソフトウェアが利用できるということは、変化の厳しい法的要求に簡単に対応する上でのメリットになるということだ。

そのほか、同テストシステムは、LabVIEWやVeriStand、TestStandなどのソフトウェア製品との親和性にも優れている。また、幅広い分野で活躍するアライアンスパートナーとの連携や、アドオンIP、NIのアプリケーションエンジニアによるサポートを活用することで、テストにかかる費用を大幅に削減し、製品の市場投入までの期間を短縮できるだけでなく、今後生じてくるさまざまな課題にも対応できるテスターを構築することができるということだ。