ヴィーム・ソフトウェアは11月16日、記者説明会を開催し、同社の戦略、日本市場におけるビジネスの状況や施策について説明した。説明を行ったのは、今年10月にアジア太平洋・日本担当シニア・バイス・プレジデントに就任したショーン・マクレガン氏だ。
まず、マクレガン氏は米国のビデオ・DVDレンタルチェーンのBlockBusterが2003年は6万人を超える従業員を抱え、56億ドルの売上を達成していながらも、Netflixの登場などの技術の変化についていけなかったために、倒産したことを例に挙げ、企業にとって変化に対応するための能力が不可欠であることを示した。
また、「現在、多くの人々が、スマートフォン、タブレット、スマートスピーカーを活用するなど、デジタルな生活を送っている。ここでは、デジタルなサービスに対するアクセシビリティやアベイラビリティが確保されていることが期待されている」と、マクレガン氏はデジタルの世界ではアベイラビリティに対するニーズが高まると述べた。
このことを企業の活動に当てはめて考えると、「ビジネスの継続性」と「ユーザーからの信用性」は密に連携しており、例えば、ユーザーはタイムリーにデータにアクセスできないと、その企業に対する信頼性は低下することになる。さらに、「落ちた信頼を回復することは難しい」とマクレガン氏は指摘する。
ある調査では、システムのダウンタイムの発生に伴い、企業で毎年発生しているコストの平均額は2180万ドルに上るという結果が出ている。しかも、問題は金銭面にとどまらず、「顧客からの信用の喪失」「ブランドへのダメージ」「社員からの信頼低下」「他のプロジェクトなどへの悪影響」といった問題も引き起こす可能性があるという。
こうした状況を踏まえ、「"Always-On AVAILABILITY"というビジョンの下、企業のビジネス変革を支援するのがわれわれの役目だ」と、マクレガン氏は話した。
さらに、マクレガン氏は、同社が現在、さまざまなアプリ、多種多様なデータ、あらゆるクラウドに対して、アベイラビリティを確保しようと取り組んでいることをアピールした。 -
続いて、同社のパートナーである日本ヒューレット・パッカード(HPE)とシスコシステムズから説明が行われた。
HPEのハイブリッドIT事業統括 データプラットフォーム統括本部 エバンジェリストの高野勝氏は、「HPE CompleteプログラムにおいてVeeamのソリューションを提供している」と述べた。
具体的には、HPEはVeeamのソリューションを自社の製品ラインアップに組み込み、ワンストップで販売・提供を行っているほか、マルチベンダーの環境にありがちなリスクを軽減するために互換性の検証を行っている。
高野氏は「個人的にはこの活動に一番期待している」として、両社によるテクノロジーの連携ソリューションの開発も行うことを紹介し、注目の技術として、マイクロソフトの「Azure Stack」を挙げた。
HPEは同社のストレージとVeeamのソリューションを統合して提供しているが、高野氏は「今月より完全に統合したNimbleブランドの製品については、今のところバックアップの分野が整備しきれていない。そこで、Veeamのソリューションを活用することで、Nimble製品のバックアップ機能を拡充していきたい。さらに、3PARとNimbleが混在した環境でもVeeamのソリューションが有効だと考えられる」と説明した。
続いて、シスコシステズ データセンター/バーチャライゼーション事業担当 部長の石田浩之氏が説明を行った。
石田氏によると、シスコはVeeamと2014年よりグローバルでのアライアンスを開始、Veeamのソリューションについては、シスコの認定ソリューション・事前検証済みデザインとして、設計ガイド・設定情報をWebサイトに公開しているという。
また、石田氏は、シスコもHPEと同様に、シスコも年内にVeeamのソリューションをワンストップで提供・販売する計画であることを明かした。
シスコは、ハイパーコンバージドソリューション「Cisco HyperFlex」やサーバ「Cisco UCS C240」「同 S3260」とVeeamのソリューションを連携したバックアップ/レプリケーションのソリューションを提供している。
マクレガン氏は「2018年、日本は100%増の成長が見込める」と語った。その根拠の1つとして、アライアンスの強化により、日本での案件が増えていることを挙げた。さらに、日本での案件がこれまでは小規模だったが、最近は物理環境をクラウドに移行するケースが増えており、規模が大きくなっているという。
また、マクレガン氏は「仮想化およびクラウドがインフラの主流となる時代において、1社でできることは限られている。われわれはアライアンスにより、サーバやストレージと当社の製品の連携を深めていくことに注力する」と、あらためてアライアンスの重要性を強調した。