2017年11月15日から17日にかけて、パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術/IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET 2017」「IoT Technology 2017」において、キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、キヤノンの製品開発で培われたノウハウなどをベースとした品質検証サービスの紹介などを行っている。

世の中に販売される製品の品質を保証するためには、さまざまなテストを設計し、それを実施、結果を分析する必要がある。しかし、製品の発売日は決まっており、品質検証にかける時間もコストも限られているという実情の中において、どの程度の品質であれば、市場に出してよいかの判断は難しい。同社では、キヤノンの製品開発で培ってきたノウハウを活用することで、そうした品質検証をサポートするサービスとして、検証品質そのものの向上に向けやテスト設計の前段階である「ドキュメント評価」やテストの自動化支援なども含めたトータルソリューションを提供している。

例えば、ドキュメント評価では、開発途中の仕様書などのドキュメント内容の評価を実施することで、開発の上流段階で不具合となる可能性を洗い出すことで、手戻りを減らし、結果的に開発コストの抑制や、開発期間の短縮を実現することが可能になる。また、テスト自動化も、従来は人の手が介在する必要があった部分もロボットで代用できる部分を極力ロボットに任せることを目指した環境構築支援などを行っている。

ロボットによるテスト自動化の例として紹介されているICカードデータ読み込みテスト。ICカードのOK、NGの結果を受けて、仕分けを自動的に行うという仕組みとなっている

同社は「ドキュメントの良し悪しを判別するツールは存在しない」と言い切るが、実際に仕様書に記載されていないものを日本人のエンジニアは読み取ってくれるが、海外にオフショアする際などは、そうした書いてないことには対応しない、といったこともあり、しっかりと仕様書を作りこむ必要があるのは事実だ。ドキュメント評価サービスでは、そうした記載事項を読み解き、必要な部分は改めて文面に記載させる必要などがあるといった判断も行っており、そうしたコンサルティングサービスも提供しているという。

さらに、メトリクス分析の実施に向けた品質メトリクス収集環境の構築支援サービスも提供。オープンソースソフトウェア(OSS)を活用することで、低コストでプロセスメトリクスの蓄積を実現している。

このほか、同社ブースでは、IoTに向けた取り組みとして、産業用カメラとNVIDIA Jetson TX1を組み合わせた画像処理ソリューションによる、金属板の表面の傷を検査するデモや、PoCを含め、小さく早くIoTを始めたい、というニーズに対応する「エッジIoTプラットフォーム」のデモなども行っている。

画像処理ソリューションは、独自の画像認識フロー(特許も出願中とのこと)により、高速にどういったものが傷であるのかを判断することを実現するもの。CPUと比べた場合、処理速度を1/20程度に短縮でき、インラインでの利用を可能としている。

組み込みGPUによる画像処理システムの様子。微細な傷であっても、100ミリ秒程度で検出ができる

一方のエッジIoTプラットフォームは、おもちゃの電車を活用したデモで、車両に搭載された3軸加速度と光センサで振動と明るさを検知して、それを2台のコンピュータで分散処理。片方は、ミリ秒オーダーの処理によるリアルタイム性を重視し、例えば線路上に設置されたカメラで車両の通過を監視し、そこに車両ではない人などが移りこんだ場合、即座にアラートの点灯とともに車両に停止命令を発し、車両の走行を止める、といったことを可能としている。もう1方のコンピュータはHPEのEdgelineで、MongoDBを搭載し、そこにデータを蓄積し、より高度な処理を担当している。R言語を用いて見える化がなされておリ、投資を要さないでの開発を可能としたという。

エッジIoTプラットフォームのデモの様子。波形はR言語を用いて開発されている

同社では、このエッジIoTプラットフォームについて、どういった方向性のビジネスにしていくかそのものを今後検証していく必要があるとしており、現在、一緒にPoCを構築してくれるTrialユーザーの募集を行っているとのことで、そうしたトライアルで生み出された価値を、自社の今後のビジネスに生かしていきたいとしている。