東北大学は、同大学金属材料研究所発のベンチャー企業であるパンソリューションテクノロジーズが、Si結晶基板のみから太陽電池のエネルギー変換効率を高精度に得る事ができ、測定時間も基板1枚あたり10秒と大幅な時間削減となる「HS-CMR(Hi Speed-Current Modulating Resistivity Method)法」を用いた、新測定装置の製造・販売することを発表した。

薬品処理により基板表面の結晶欠陥を可視化した多結晶ウェハ(出所:東北大ニュースリリース※PDF)

光エネルギーを電気エネルギーに変換するための半導体素子である「太陽電池用シリコン(Si)結晶基板」は現在、太陽電池市場で最も高いシェアを占めている。従来、太陽電池用Si結晶基板の出荷・仕入れ検査などでは、主としてSi基板表面の電子の寿命を測定する方法(反射マイクロ波光導電減衰法等)が品質評価法として用いられてきた。

しかし、その手法では太陽電池のエネルギー変換効率を正確に測定することが難しいうえに測定時間も長いため、結果として太陽電池の品質のばらつきや開発効率の低下につながることが、大きな課題となっている。

今回、パンソリューションテクノロジーズが製造・販売する「HS-CMR法」では、Si結晶基板のみから太陽電池のエネルギー変換効率を高精度に得る事ができ、測定時間も基板1枚あたり10秒と大幅な時間削減となる。このたび同社はその実用化に成功し、太陽電池製造業界が抱える問題に対して大きな解決策を提供できることになった。

HS-CMR法の概略(出所:東北大ニュースリリース※PDF)

同技術は、シリコンウェハの段階で性能を明確に判定することが可能となるため、品質が規格化され、 適正な価格でウェハを売買することが可能となる。 また、シリコンウェハをセル化することなく性能評価を行えるため、開発効率が飛躍的に改善され、エネルギー品質変換効率向上に貢献する。開発効率の改善は、製造コスト削減にもつながり、設備費の低価格化が求められている太陽電池業界を活性化させることが可能となるとしている。