ルネサス エレクトロニクスは10月31日、エントリクラス車における、3Dグラフィックス表示に対応したインスツルメント・クラスタの普及に向けタソリューションとして、車載情報システム用SoC「R-Car D3」を開発したことを発表した。

同製品は、3Dグラフィックス・コアにImagination Technologies(IMG)の最新世代グラフィックス・コア「PowerVR Series 8XE」を採用。従来の3Dクラスタ向けSoC「R-Car D1」と比べ描画性能が約6倍向上したことから、ハイエンドクラス車向けに作成したコンテンツをそのままエントリクラス車で使用できるようになった。

また、BGAパッケージを採用することで、安価な4層プリント基板を使用した3Dクラスタを実現できるため、BOMコストの低減が可能となったほか、同製品を搭載する同社製システム評価ボードも4層プリント基板を使用しており、その設計データをユーザのプリント基板設計の参考として利用することも可能だという。さらに、低消費電力であるため、比較的廉価なディスクリートの電源レギュレータを用いて電源回路を構成できるほか、1個のDDR SDRAMでクラスタを構成することが可能なため、従来品(R-Car D1)で構成した3Dクラスタと比べ、BOMコストを約40%低減できるようになるという。

加えて、クラスタ分野向け各種OSメーカ、HMIツールメーカ、システムインテグレータとの連携により、同製品を採用したユーザが3Dクラスタの開発工数/コストを低減可能なソリューションを提供するほか、ユーザは、R-Carコンソーシアムに加盟する200社以上のパートナとの連携によるさまざまな車載向けソリューションを活用し、開発工数/コストの低減を実現することができると同社では説明している。

なお、同製品はすでにサンプル価格5000円(税別)にて提供を開始しており、2019年9月から量産出荷を開始する予定であり、2020年9月には合計で月産20万個の製造を計画しているという。

ルネサスの3Dクラスタ用SoC「R-Car D3」のパッケージ外観ならびに適用イメージ