ヤマハは10月26日、言語や聴力への不安がない社会「音のユニバーサルデザイン化社会」の促進を目的として、同社を主催社とした167の日本企業・団体が参加する「SoundUD推進コンソーシアム」を設立し、決起大会を東京の両国国技館で開催したと発表した。

決起大会の様子

同社は、音のユニバーサルデザイン化支援システム「おもてなしガイド」の普及と推進に取り組んでおり、同システムは独自開発した対応スポットで流れる音声の内容をアプリやデジタルサイネージに文字として表示できる。

これまで42の自治体、施設、音声関連機器メーカーなどの協力の下、多数の交通機関や商業施設、公共施設、観光施設、宿泊施設で実証や試験運用を進めてきた。新コンソーシアムは、こうした音のユニバーサルデザイン化への取り組みを、多くの企業・団体とオールジャパン体制で進めるために設立した組織。

2020年までに国内の主要施設が音のユニバーサルデザインに対応できるように、今回のコンソーシアム設立を機に、同社はシステムの技術の一部を標準規格としてオープン化し、会員に提供していく。

また、技術のオープン化を皮切りに、平常時に加えて緊急時も含む多様なシーンを想定した環境作りを促進し、日本全体で音のユニバーサルデザインのサービスが受けられる音のプラットフォーム構築を、目指す考えだ。

さらに、プラットフォームを幅広い用途に「2次活用」できる仕組みを整備することで、日本発の新たなビジネスモデルやイノベーション創出も促進していく。

同コンソーシアムは、総会・幹事会および部会で構成し、事務局は同社が担当する。現在は3つの部会を設置し、活動している。コンソーシアムとしてサービス提供の開始は2018年4月を予定しており、引き続き、同コンソーシアムの理念に賛同する企業・団体・自治体の入会を受け付けている。

SoundUD推進コンソーシアムの組織構造と活動内容

多様な場所やシーンで音のユニバーサルデザイン化を実現するには、その対応したスポットと対応アプリ/システムの双方を拡充させる必要があるという。そのため、部会やワーキンググループ、展示会などを開催して会員同士の情報共有を促進するほか、音のユニバーサルデザインに対応した製品やサービスの開発に必要なツール・技術の提供により「SoundUDエコシステム」を形成する。

音のユニバーサルデザイン化社会の拡大イメージ(SoundUDエコシステム)

同コンソーシアムでは、おもてなしガイドの技術を利用する「SoundUD支援ツール」を2018年4月から会員に提供する。また、交通・商業・防災に関するテンプレートアナウンスを日英中韓の4言語の音声と13言語の文字で配信できるタブレットアプリや、同ガイドの機能を自社開発の製品やアプリに組み込むことができる開発モジュール/開発キット(SDK)などを提供していく。

さらに、同ツールだけでは対応できない高付加価値機能については、コンソーシアム会員の各メーカーやサービスプロバイダーなどが独自に開発を可能にすることで、多様な製品・サービスを提供できるようにサポートする。

これにより、日本中の多様な業界・施設で音のユニバーサルデザイン化サービスを提供でき、多様なアプリで情報を受信できる社会を目指す。

音のユニバーサルデザイン化社会構想のイメージ