NTTデータと京都銀行は10月25日、NTTグループのAI技術「corevo(コレボ)」や、NTTデータが展開している地方銀行・ベンチャー企業の社員とともに情報発信やビジネスアイデア創出を行う「BeSTA FinTech Lab」を活用した、金融機関の融資審査業務の生産性向上を図る実証実験を11月1日から開始すると発表した。

同実証実験では、融資審査業務の中でも多くの時間を要している稟議書の作成プロセスを対象にして効率化の効果を検証する。

実証実験イメージ

稟議書は融資判断を行うために作成する決裁文書だが、その作成にあたっては、融資案件の特性を踏まえて何をどう記載すべきか担当者の経験による部分も多く、時間を要するケースがある。また、記載内容が不十分な状態で起案することで差戻しが発生するなど、担当者と承認者の双方の業務時間を逼迫させる要因の1つにもなっているという。

AI技術「corevo」は、日本語解析技術を用いることで、稟議書内に記載された単語や数字などの情報を取得するとともに、文章全体の意図を理解できるため、記載内容を分析することができるので、同技術により、銀行内に蓄積された情報や行員個人のノウハウをAIが学習し、新規の稟議書作成時に担当者をサポートすることが可能。これにより、担当者間の経験やスキルの差によらず、誰でも一定水準を満たすことを可能とし、稟議書作成から承認までにかかる時間の抜本的な効率化を目指す。

NTTデータは、本実証実験で得た技術的なノウハウや銀行員の助言をもとに、AI技術の精度向上に取り組み、2018年度中の商用化を目指すとしている。