市場動向調査会社である米Gartnerの英国法人は10月17日(英国時間)、2018年のPC/タブレット/スマートフォン(スマホ)の世界市場に向けた合計出荷台数が、2017年比2.0%増の23億5000万台になるとの予測を発表した。
GartnerのRanjit Atwal調査ディレクターは「世界はモバイルに移行してしまい、スマホのみに依存しているという根強い誤解が世界中に蔓延している。しかし、Gartnerが2017年6~7月にかけて行ったオンライン・エンドユーザ調査(対象は米国、英国、ドイツ、中国、インドの18~74歳の16537名)では、スマホと同様にPCやタブレットにユーザーが依存していることがわかった。丁寧な電子メールの読み書きやビデオの視聴などに毎日のようにPCやタブレットを使用していると回答した人は40%もいる」と述べている。
また、同氏は、「PCは、長年にわたって使い続けるユーザーが多いため、買い替えが進まず、売り上げが伸びないという問題を抱えている一方で、そうしたユーザーもスマホの買い替えについては頻繁に行っている」とも述べており、そうした背景から2018年のPCの出荷台数は前年比で4.4%減となるが、スマホの出荷台数は同2.4%増となるとの予測を発表している。
ビジネス向けでの堅調な伸びが期待されるPC市場
ビジネス向けPCの出荷台数は、多くの地域、特に西ヨーロッパでのWindows 10への移行が早いことから、2017年末までに成長路線に戻ってくるものと予想されている。同氏も、「部品コスト(主に半導体メモリ)の上昇により価格が上昇しているにもかかわらず、Windows 10への移行により、2017年を通してPC市場は比較的安定した状態に保たれた」と述べており、2018年のPC市場全体(デスクトップやノートブックといった従来型PC、ならびにウルトラモバイルPC)の出荷台数の伸びは前年比0.8%増となるとの予測を示している。
このプラス成長の背景には2つの要因があるという。第一の要因はロシアの国内事情だ。ロシアのPC市場は、経済見通しの好転によりプラス要因となっており、2017年のビジネス向けPCの支出は5%増加している。この成長は2018年まで続くと見られている。需要は主にデスクトップPCに集中しており、モバイルPCや2-in-1デバイスなども積極的な安値に設定されているという。
第2の要因は、セキュリティとプライバシーの問題によりWindows 10への移行が遅れ、2017年のPC販売がさえない中国市場だが、Microsoftは現在、中国政府機関と協力して政府承認版OSを開発中であるという。「Windows 10の機能は、デスクトップやノートブックからウルトラモバイルのプレミアムモデルに移行しようとしている中国政府にとって特に有用である。このための開発は、2018年にPC市場にプラスの影響を与えるものと期待している」とAtwal氏も述べている。
2018年のスマホの出荷台数は16億台に
一方、2018年のモバイルフォン(従来型携帯電話+スマホ)は、売上高の成長率が前年度並みに戻り、出荷台数も19億台に達すると見込まれている。そのうちスマホは、モバイルフォン全体の86%(16億台)を占めるとみられている。
なおGartnerでは、AppleのiPhone Xが、価格が高いにもかかわらず、北米、中国、西ヨーロッパのセールス・ドライバーになると見ている。GartnerのRoberta Cozza調査ディレクターは、「iPhone Xは11月発売であることから、iPhoneの買い替えが進むのは2018年になると見られる。また、半導体メモリ不足により、2017年第4四半期におけるスマホ需要を満たすことができないことから、その反動で2018年に販売台数が伸びることにもつながる」と見解を述べている。