グラフィックスカードなど台湾のハードウェアメーカーとしても知られるLeadtek Researchが、リストバンド型の健康管理ツール「amor(アモー)H2 ヘルスリストバンド」をメディア向けの発表会で披露した。同製品には、複数のセンサーが内蔵されており、腕に装着することで得られるデータをクラウドに転送、IBMのワトソンと組合せ「疲労指数」や「血液循環指数」といった数値を24時間リアルタイムで測定でき、スマートフォンなどのアプリを使うことでどこでも計測結果を確認できるというものだ。
台湾のハードメーカーとして、ワークステーション用グラフィックスカード、GPS、デジタル監視システム、クラウド コンピューティング ワークステーション等などの製品を展開するLeadtek Research。9月にはディープラーニングなど先端技術にも力を入れるNVIDIAと中国におけるAI分野のパートナーシップ提携も発表している。
同社がもう一つの事業として力を入れているのが、ヘルスケア事業だ。2000年にWegene Technology Inc.を台湾で設立し医療及びヘルスケア分野へ参入。現在、台湾と中国の約200の病院、診療所において医療製品が採用されるなど当地では医療ブランドを確立している。
Leadtek Researchの製品。同社の製品は、ワークステーションやサーバーなどのWinFastブランド、プロフェッショナル/コンシュマー向けグラフィックスカードなどのハードで知られている。同社が新しい事業として力を入れているのがバイオ、メディカルヘルスケア事業だ。 |
そんな同社は、様々な医療デバイスからクラウドへのゲートウェイ、ヘルスケアサーバーとメディアカル情報を整理運用するクラウドサービスを含めた総合的な健康管理サービスシステムを開発しており、今回一般のユーザーがより利用しやすいデバイスとして開発されたのが「amor H2 ヘルスリストバンド」だ。
同製品は、リストバンドに内蔵されたPPGセンサー、Gセンサーなどの測定装置により、疲労指数や循環指数、心拍数、歩数、睡眠状態、着席状態などを計測し、装着者の健康状態について、疲労度、心身の活力、運動不足などの健康状態を診断してくれる。監視モードにより、高いストレス状態や疲労度を継続的にモニターできる特徴でを持つほか、常時、歩数及び心拍数を測定し定期的に波形解析を実行。これらのデータを統合して健康指標を定量化することにより、個々の健康状態を把握することもできる。
収集されたデータは、同社のiOS、Android対応アプリにより、いつでも情報を確認することができ、データを活用するためのiOS 及び Android 用アプリ「amor Health Keeper」もリリースしている。同アプリは、集めた健康データをAIアルゴリズムで管理する個人向けの健康情報管理用のクラウド「amor Health Keeper クラウド」へアクセスしデータを管理、表示できるもの。「amor Health Keeper」では、疲労指数や交感神経系、副交感神経系、自律神経の活性率、自律神経系のバランス、ハート力などの5項目を表示することができるそうだ。
先立つ製品として、すでに販売されているのが「amor H1 心拍数&活動モニター」だ。これは、聴診器のようなパット二つを直接体に貼り付けることでより正確な心拍数と活動量をモニターできる携帯デバイスだ。心拍数、心拍変動、活動量などをセンサーで取得し、自律神経系の活動分析、効果的なエクササイズ、など、健康管理以外にもスポーツのトレーニングなどに活用できる。
また、同社は、医療施設や公共機関、企業グループ向けのコミュニティ・ヘルスケアシステムとして、「amor Health KIOSK」も発表している。心拍変動、血圧、心身の活力測定などをおこなうことができる他、血糖・尿酸・コレステロール測定器、体脂肪計、血中酸素濃度計などの外部デバイスとワイヤレス通信を行い、複数の測定データを統合、収集された健康データをクラウドで運用するものだ。利用者は、登録されたIDカードを筐体にカードをかざすだけでクラウドにアップロードされたデータは、AIアルゴリズムによって個別的追跡及び管理が行われ自律神経検査、心不全の傾向などについての情報を提供してくれる。
「amor Health KIOSK」には、健康測定以外にもクラウドへのゲートウェイの役割を果たしている |
「amor Health KIOSK」の運用図。自動でアップロードされたデータは、クラウドで解析され、健康管理者用Webサイト、会員用Webサイトで閲覧することができる。 |
今回、東京での新製品「amor H2」の発表会では、Leadtek Researchの会長でありCEOでもあるKun.Sun.Lu氏が直接会見を行った。Kun.Sun.Lu氏は、「日本は、文化的に台湾と違い、働きすぎて疲労がたまっている。同社の測定器技術で貢献できるのではないか」と率直な感想も。
同社は、amorシリーズ以外でも日本の医療法人社団鉄祐会グループのインテグリティ・ヘルスケアと遠隔心臓治療ソリューション事業において包括的な提携も発表している。インテグリティ・ヘルスケアは、オンライン診療システムを展開する企業で今回の提携により、Leadtek Researchが販売するウェアラブル心臓デバイス及びクラウドソリューションとインテグリティ・ヘルスケアの遠隔医療プラットフォームを統合運用し、より効果的な遠隔心臓治療ソリューションの実現を目指す。同社は、これらの実績をもとに革新的なヘルスケアモデルを中国やシンガポール市場を中心に向けて拡大させてゆく構えだ。