GMOペパボでインターネットに関する新技術の創造と実践に取り組む研究開発組織であるペパボ研究所と、九州大学 情報基盤研究開発センターは10月20日、コンテナ型仮想化技術を基盤に用いたクラウドホスティングに関する共同研究開発を10月1日に開始したと発表した。
コンテナ型仮想化は、ユーザーごとに独立したアプリケーション実行環境であるコンテナを1つのOS上に複数構築することで、より少ないコンピュータリソースで仮想的な動作環境を実現する技術。
両者は、コンテナ型仮想化技術を用いて、より頑健で柔軟なクラウドホスティング環境を実現するべく、共同研究開発を開始し大規模インフラ上にコンテナ型仮想化技術を基盤に用いたクラウドホスティングを実運用に近い環境で構築し、擬似的に作り出した高負荷下での実証実験を行う。
具体的には、極端な高負荷下での性能テストをはじめ、適切なリソースの増減テスト、利用可能なリソース量が利用者側の要求に満たない場合のリソース・スケジューリング・テスト、迷惑メール対策などのセキュリティ向上手法などを実証する。
また、プロトタイプを利用者に提供して実証実験を行うことで、実運用に近い負荷での検証が可能となり、加えて利用者からのフィードバックを基に改善し、より頑健で柔軟なシステムの開発を目指す。共同研究期間は2018年3月末までを予定している。
今回の共同研究開発を通じ、どのような負荷状況でもコンテナの起動や終了を高速に行うことができる環境を構築することで、これまで手動でシステムの再起動が必要だったセキュリティ更新や基盤ソフトウェアの入れ替え、高負荷時のリソース拡大やインフラの増強・移行などが自動的に可能になるという。
加えて、スパムメールなど大量のメール受信による高負荷状態を避けるための自動オフローディング技術や、コンテナ間での協調によりサーバへの攻撃元を特定しフィルタリングするセキュリティ機構の開発も行う。
今後、研究開発した成果は論文発表のほか、GMOペパボが提供するレンタルサーバサービス「ロリポップ!」のマネージドクラウドプランなどのホスティングサービスに、順次実装を予定している。