米PTCは、同社のARテクノロジーであるThingWorx Studioについて、デジタルコンテンツを一般的な物体や面に配置する機能を大幅に向上させ、AppleのARKitおよびGoogleのARCoreに対応したアップデートを発表した。

ThingWorx Studioは、拡張性の高いAR体験をプログラミング不要ですばやく作成し共有することができる、高速なAR開発環境。ユーザーは、既存の3Dデータとアニメーションシーケンスを簡単に再利用することで、コンテンツ作成のコストと複雑さを低減することが可能になる。ThingWorx Studioは、AR開発プラットフォームVuforiaの新バージョンVuforia 7に実装され、サポートされるモデル・ターゲットは、既存の3Dモデルの形状に基づいた物体の認識とトラッキングを可能にし、マーカーを必要としない。高精度なオブジェクト認識機能により、3Dデータをより正確に配置することが可能になるということだ。

また、アップデートにより、コンテンツを地面やテーブル上に配置するための新機能であるVuforiaグラウンド・プレーン機能が利用できるようになった。同機能は、Vuforia Fusionとして知られる技術を利用してARKitとARCoreを活用するため、企業におけるさまざまな環境で堅牢かつ信頼性の高いAR体験を作成することが可能になるという。仮想デザインレビューや、マーケティング用の可視化ツールなど、物理的な製品を必要としないため、企業ユーザーは、受注までの期間を短縮するとともにコストと複雑性を削減し、高い拡張性を有するAR体験を速やかに作成することが可能になるという。

さらに、より幅広いデバイスとOSへの対応に向けて同社は、ThingWorx StudioおよびThingWorx Viewにおいて、モデル・ターゲットとARKit対応のプレビューを企業に提供している。ThingWorx Studioで作成された体験は、エンタープライズ向けビューア・アプリケーションであるThingWorx Viewを介して利用可能で、コンテンツ作成者は、iOS 11端末のカメラプロセッサとモーションセンサーを利用して、没入感の高い空間的ARインタラクションを、より迅速かつ容易に作成することができるという。なお、無償でダウンロードできるThingWorx Viewは、Windows、iOS、Androidデバイスで使用できる。

そのほか、ThingWorx StudioおよびThingWorx Viewには、様々な産業用途において効率化を支援する、リモート・プレゼンス機能が近日中に組み込まれる予定となっている。それにより、新たなコミュニケーション体験がVuforia Chalkアプリケーションにより実現され、様々な場所から参加するユーザーが同じ環境をリアルタイムで共有し、簡単な注釈を描くことが可能になる。この注釈は、物体や面自体に描かれたかのように、環境内の物体や面に固定されて表示されるという。これらの機能は、2017年中にはThingWorx Viewで利用可能になる予定だ。