北海道大学は、うなずき、首振り動作を操作し、魅力、好ましさ、近づきやすさといった人物の印象を評価する実験を行った結果、うなずいた場合、好ましさと近づきやすさの評定値が、首振りや静止したままの場合に比べて30~40%上昇したと発表した。
同成果は、北海道大学大学院文学研究科の河原純一郎 准教授、山形大学学術研究院(認知心理学)の大杉尚之 准教授の共同実験によるもので、知覚心理学の学術誌「Perception」にてオンライン公開された。
世界中の多くの国で、同意する場合はうなずき、拒絶する場合は首振りをする動作が用いられており、これらは態度を相手に伝える上で重要な役割を果たしていると考えられてきた。河原 准教授らの研究グループでは、これまでにお辞儀が魅力の上昇をもたらすという発見を発表していたが、単にうなずくだけ、首を横に振るといったさらに単純な動作が印象形成にどのような影響を及ぼすかは検証されていなかった。
今回の実験では、CGで作成した人物がうなずく、あるいは首を横に振る短い動画を作成し、18歳以上の男女合計49名の評価者が、動画ひとつごとに人物の印象(魅力、好ましさ、近づきやすさ)を1~100 の範囲で評定した。比較のため、動かないでじっとしている映像に対しても同様の評定を実施した。
評価者の性別に関わらず、人物が単にうなずく動作を見た後は、首を横に振る動作や静止したままの場合に比べて、好ましさは約30%、近づきやすさは約40%高く評価された。さらに、人物の見た目の好ましさと推測した性格の良さについても調べたところ、性格特性の好ましさが特に上昇していたという。
この結果から、評価と無関係な動作であっても、うなずくという動作は相手に近づきやすい印象を与え、ポジティブな評価に結びつきやすいと結論づけた。同研究の成果は、マナーやホスピタリティ教育、web 上のコミュニティで用いられるアバターやヒューマノイドロボットの評価などに役立つと考えられるということだ。