NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と日本カーソリューションズ(NCS)は10月3日、NTTグループのAI(人工知能)関連技術である「corevo(コレボ)」を活用したAI技術である「ディープラーニング(深層学習)による物体検出アルゴリズム」を用いて、ドライブレコーダーの映像から道路標識などを抽出し、センサデータ(速度)と組み合わせることにより、車両が道路標識などで一時停止すべきことが指定されている場所において、一時停止しなかった事象を検知するアルゴリズムを確立したと発表した。
NCSは、カーリースを契約している企業ユーザーに対して安全運転促進のための自動車IoTツール「NCSドライブドクター」を提供している。同サービスのオプションである「NCS交通安全プログラム」の映像解析サービスでは、車載器に記録した映像ビッグデータの中から、専任スタッフが「交通違反につながるヒヤリハット」など多様な危険運転シーンを抽出し、分類しているおり、この業務には多くの時間を要するため、手早く正確に行いたいという要望があったという。
一方、NTT Comは2016年に車両向けディープラーニング技術の開発に取り組み、ドライブレコーダーのデータ解析による「ヒヤリハット」の検知に成功している。この知見から、映像や速度などマルチモーダル(複数の入力情報を判断材料にすること)な時系列データをAIを利用して分析することで、交通ルールに沿った運転が行われているかを自動で判別が可能であると考え、NCSと共同でデータ解析に関する実験を開始した。
今回の実験では、NCS交通安全プログラムの映像解析サービスで利用しているドライブ・レコーダーの録画映像の中から、道路標識などにより一時停止すべきとの指定がある場所で一時停止しなかった事象を、検知対象に設定した。約2000件の映像から新アルゴリズムを用いて映像を抽出した結果、96%の精度(適合率)での検知に成功したという。
両社は今後、AIを利用して多様な危険運転の検知・解析の精度を上げ、実用化することで安全運転を推進していく。NTT Comは、今回の実験で確立したアルゴリズムを、車両向けAI/IoTソリューションとしてユーザーに提供する。
また、NCSは実験の成果を踏まえ、現在は専任スタッフが行っている危険運転映像の抽出業務に同システムを利用していくとともに、将来的にはNCS交通安全プログラムのユーザー企業にも同システムによるデータ解析結果を提供し、利用してもらうことで、効率的な安全運転管理業務の実現を目指していく考えだ。