2017年10月3~6日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されるCPS/IoT Exhibition「CEATEC JAPAN 2017」にてパナソニックは、「共創」をキーワードに、「Smart Life Experience」、「Smart Connected Solution」、「Technology」をテーマとした展示を行っている。
「Smart Connected Solution」は、同社が考えるBtoB向け現場ソリューションとしてのIoT技術などを紹介するゾーン。さまざまなIoT技術を駆使することで、製造から物流、そして小売りまでの幅広いサポートを可能とするさまざまなソリューションの紹介が行われている。
製造から物流、そして小売りまで、幅広くIoTソリューションを展開するのがパナソニック流。小売りでは、パンにタブレットをかざすと、今日はどれが何個売れているか、といったことも即座に知ることができるデモなども見ることができる |
「Smart Life Experience」は、生活に新たな体験を提供するソリューションの提案を行うゾーン。顔を撮影した静止画をベースに、本物のメイクをするかのようにデジタル上でデザインを行い、仕上がりを動画で確認することができるシステムである「メイクアップデザインツール」などのほか、参考出展として、近赤外線を活用した食材分析技術を活用して、数十秒で食事のカロリーや三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)の含有量などを測定したり、食べたものをライフログとして保存して、生活の改善につなげることができるカロリー/栄養素チェッカー「CaloRieco」や、幼児の感性を育むことを目指した球体ソーシャルロボット「cocotto」、衣服や布製品に半導体デバイスなどが提供するさまざまな機能を付加できる「ウェアラブルメーカーパッチ」などの紹介が行われている。
ウェアラブルメーカーパッチは、しなやかさとはんだ実装を可能とする独自の熱硬化性樹脂材料基板の上に、配線として伸縮性のある導電性ペーストを印刷で形成。さらに、センサやマイコンなどとはんだ実装し、防水加工を施すことで実現するもの。電源としては、同社のシート型リチウムイオンバッテリをはじめ、さまざまな方式に対応することができるという。
またcocottoは、独ベルリンで開催された国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)で発表された幼児向けロボットで、文字通り見た目は球体という存在。この形について、同社のスタッフは、手足をつければそれだけサーボの数が増すことになり、故障の原因にもつながるし、子供が怪我をする可能性も出てくる。安全性を考慮して、どこまで外観をそぎ落としていくか、という極限が球体だった、と説明する。とはいえ、そこに搭載している性能はそれなりに高い。まずは言語だが、日本語と英語を認識することが可能。これについては言語パックの追加で、対応言語を増やしていくことも可能だろう。また、駆動方式は、球体は本当の球体ではなく、タイヤの側面におわん側のフタをしたようなイメージで、中央のタイヤ部分が回転することで、移動を実現する。さらに、そのサイド部分にはカメラなどが搭載されており、誰が写っているのか、といったことを認識したりもできる。
球体ロボット「cocotto」。パッと見、どうやって動いているのかが分からないので、ぜひ会場でその動きを見ていただきたい。また、表情も豊かで、幼児とのコミュニケーションにも向いているのではないかと思われた |
加えて、子供が持ち上げると、「高くて怖いよ」と言ったり、叩いたりすると、「痛い」と言ったりと、あたかも感情を持っているかのような対応も可能となっている。とはいえ、現状、稼動時間は40-50分程度であり、製品化までにはもう少し稼働時間を延長する必要があるとするほか、自律走行の性能や対話性能にも改善の余地があるとのことで、製品化には後2年くらいは少なくとも必要ではないかと見ているとのことであった。
そして「Technology」は文字通り、同社のソリューションの実現を支援するさまざまな技術を紹介するゾーン。発表されたばかりの独自レーザスキャン技術により、周囲にある物体までの距離と方向を広範囲に計測できる三次元距離センサ 3D LiDARや、ウェアラブル端末などに最適な小型フレキシブル二次電池、映像解析による感情・体調センシング技術など、さまざまな用途に適用可能な技術を体験することができるものとなっている。
このほか、同社のブースの真ん中正面は、イベントスペース「Open Innovation Lab」が設置されているが、ここは、従来の同社による技術説明の場ではなく、対話により共創する、ということをテーマにパートナー企業やゲストなどとのパネルディスカッション、トークセッションなども開催される場所になるとしている。