2017年10月3~6日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されるCPS/IoT Exhibition「CEATEC JAPAN 2017」にてOKIは、「繋ぎ続けて創る未来」をテーマに、ネットワークのつながることで生み出される新たなサービスの紹介などを行っている。

CEATEC Japan 2017のOKIブースの様子

「つながる」が変える未来の社会の姿

例えば、ETC2.0やGPSと連動させることで位置情報を常時把握した移動式ATM。主に人口の減少が進む地方での地銀や信用金庫などのサービス拡充に向けたもので、顧客に商用車(OKIでは日産自動車のNV200を推奨)を購入してもらい、そこに受注生産方式のATMを搭載。後部ドアを開けると、そこにATMが有り、現金の引き出しや通帳への記帳ができる。顧客である金融機関の取り組み方次第だが、地域の繁華街や究極的には預金者が自宅に呼んで、現金を卸す、といったことも可能になるという。

移動ATMのデモの様子。車体のラッピングは、OKIデータ・インフォテックの大判ソルベンとインクジェットプリンター「ColorPainter M-64s」にて実現されている

また、参考出展としては光ファイバをセンサとして活用するインフラ監視ソリューションのデモ展示も行っている。こちらは、光ファイバを下水や電話線などが敷設されている共同溝に一緒に敷設させることで(既設であれば敷設は不要)、光ファイバを温度と歪みセンサとして利用しようというもの。原理自体は以前から存在していたが、今回、同社では、処理時間を従来比で100~1000倍程度高速化する方式を開発。1秒以内、というほぼリアルタイムで、どこの位置で断線や火災が生じているか、といったことを把握することを可能としたという。

リアルタイム光ファイバセンサ装置と、共同溝への適用をイメージしたデモの様子。装置と装置の間、1km~10km程度の距離で、どこで温度や歪みが変化したかをリアルタイムで把握することで、火災や漏水、地震などによる断線といったことを把握することが可能になる

さらに、10月2日付けで発表されたネットワーク型「ゼロエナジー超音波水位計」もデモ展示されている。こちらは、河川の水位を測定するためのソリューションで、水位を計測する超音波センサと水温などを計測する温度センサを一体化したほか、処理部も一体化。太陽光発電システムと蓄電池(バッテリー)も組み合わせ、かつ920MHzのマルチホップ送電でデータをセンターに送信できるため、送電線などの敷設をすることなく、工事費用も従来ソリューション比で約1/5以下に抑えることを可能にしたものとなっている。ちなみにバッテリーは、1分間の更新頻度であっても、2週間の稼動が可能。10分間隔であれば1か月以上の稼動が可能だという(その間に太陽電池で発電すれば充電されることとなる)。

OKIが静岡OKIと開発したネットワーク型「ゼロエナジー超音波水位計」。超音波センサと温度センサを一体化することで小型化を実現したほか、太陽電池と蓄電池を組み合わせ、かつ920MHzのマルチホップ伝送を搭載したことで、無線でのデータ送信を可能とした

このほか、同社ブースでは、工場内の産業機器のリアルタイムでの故障予兆を可能にするソリューションや、9月28日に発表したばかりの映像圧縮化技術と画像センシング技術を搭載した映像IoTシステム「AISION(アイシオン)」のデモなども見ることができる。AISIONは、H.264ベースの映像IoTゲートウェイ(IoT-GW)を経由させることで、HD/フルHD監視カメラが撮影した映像の質を落とさずにデータを圧縮して伝送を可能とするもの。H.264ベースなので、さまざまなビューワに対応できるが、送信されるデータは1/10程度に圧縮されるため、通信帯域を圧迫せずに高画質な監視カメラの利用を可能とする。

工場の産業機器向け予兆診断のデモ。モータの回転が正常であれば青い波形だが、軸がぶれたり異物がかんだりして、安定して回転できなければ、赤い波形へと瞬時に変化することで、故障を知らせてくれるというものとなっている

映像IoTシステム「AISION(アイシオン)」のデモ。非圧縮状態であれば10Mbps程度の映像も、同ゲートウェイにて圧縮すると1Mbps程度へと画質を落とさずに削減することができる。右は実際のIoT-GW

また、センシングとして人物検知機能も搭載。今後は顔認識や動態検知といった機能も搭載したいとしており、ネットワークカメラの高画質化を支援していく技術を強化していくという。