仏シュナイダーエレクトリックは9月25日~26日に香港で「Innovation Summit 2017」を開催。初日に基調講演を行ったSchneider Electric Chairman CEOのジャン=パスカル・トリコワ氏にインタビューの機会を得たので、同社のIoTに対応したプラグアンドプレイ機能を備えるオープンアーキテクチャ「EcoStruxure」を中心とした話を紹介する。

EcoStruxureは複数のドメイン(EcoStruxure ITなど)に対してソリューションを提供しているが、どのようなユースケースがあるのか?

トリコワ:ポイントとしては1つの市場ニーズに対し、複数のEcoStruxureのドメインで考えていくことが挙げられる。例えば、データセンターに対してはEcoStruxure ITと、EcoStruxure Building、EcoStruxure Powerを組み合わせて対応できる。

これにより、ドメインのインテグレーションを行う一方で、同じデータモデルが構築されることから、データの統合が可能になる。データを共有することで、競合他社とのベンチマークを可能とし、アプリケーションや分析への活用や効率化を図ることができる。

IoTにおいて、どのように情報の安全性を担保しているのか?

トリコワ:安全性の条件としては、システムの一貫性が重要であると考えている。われわれでは、サイバーセキュリティ対策に300億ドル以上を投資し、EcoStruxureに組み込んでいる。これはオートメーション技術により脅威の情報を集め、センサなしで構築している。

EcoStruxureの製品群を統合する予定はないのか? ドメインすべてのソリューションを使用している企業はあるのか?

トリコワ:われわれのプラットフォームは業界と密接な関係のため、一部は同じものでも対応可能かもしれないがエッジコントールが大きく異なるため、現時点で統合する予定はない。また、ドメインについては多くの会社が3つのソリューションを導入している。

典型的な例としては、先ほども挙げたEcoStruxure ITとEcoStruxure Building、EcoStruxure Powerが考えられる。産業関連ではEcoStruxure Plant、EcoStruxure Power、EcoStruxure Machineだ。そのため、いろいろな組み合わせの可能性があり、現状ではすべてを使うことはないだろう。

Schneider Electric Chairman CEOのジャン=パスカル・トリコワ氏

AI(自動化)により、労働力が置き換わる可能性については?

トリコワ:わたしは楽観視している。これからいろいろな考察がされていくが、AIにより仕事自体を変えることはできるだろう。そうなればチャンスは必ずあり、日本やドイツなどは自動化が進んでいるが、完全失業率に変動はない。しかし、注意深くなる必要があり、テクノロジー自体をコントロールしていかなければならない。

EV(電気自動車)用の休職充電器を提供しているが、EV関連の市場はシュナイダーにとって大きなビジネスになる得るのか?

トリコワ:われわれのビジネスに影響を与えるものだ。と言うのも世界のエネルギー消費量の30%は交通機関の燃料が占めている。これを電気に置き換えることで、ガレージやビルやスーパーマーケットのパーキングなどは、急速充電器の設ける必要性に迫られる。そのため、電気化が拡大していくほど大きなビジネスになるだろう。

中国のビジネス環境は?

トリコワ:中国は米国に次ぐビジネス市場だ。多くの人材を抱えており、市場には中国国内で生産した製品を供給している。

中国の国家戦略「第13次5カ年計画」において、何がシュナイダーにとって成長ドライブとなるのか?

トリコワ:5カ年計画や「インターネットプラス」などの政策に対し、データセンターやビル、インフラなどに対しイノベーションを提供することに加え、自動化、持続可能性、デジタル化、高品質化、デジタル化されたソリューションを供給していく。

今後、5年間の中国における目標は?

トリコワ:パートナーや顧客にイノベーションを提供していくことだ。そのためには、品質や自動化を高めることや中国企業の海外進出をサポートするなど、顧客満足度を高めれば結果は後からついていくる。また、投資・人材育成などに取り組んでいることに加え、学術界ともつながり、イニシアティブへの参加をはじめとした種蒔きをしているため、将来的に成長していくだろう。